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vol.16 アケビと木通(もくつう)

薬用基原植物 Akebia quinata Decaisne (Lardizabalaceae)
       Akebia trifoliata Koidzumi (Lardizabalaceae)

2017年9月27日

 秋、山辺の散策。楽しみは、実りをつけた草木と爽やかな空気との出会いです。

 特に大きな薄紫の実、アケビを見つけた時は、山から突然ご褒美を頂いたように心弾みます。

 アケビは日本や中国など東アジアの暖地に自生する落葉性ツル植物で、秋になると人の握りこぶしくらいの大きな薄紫色の実をつけます。

 薬用としては、日本ではアケビ科のアケビまたはミツバアケビのツル性の茎を「木通」と称して使用します。ただし中国ではその他の科に属する茎も木通と同様に用いられることがあり、特にウマノスズクサ科植物を基原とする「関木通(かんもくつう)」は、アリストロキア酸が含まれていますので、輸入品などは局方記載の「木通」かどうかを確かめてください。

 漢方薬として「木通」を使用する処方には、五淋散(ごりんさん)、通導散(つうどうさん)、当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)などがあります。 

 なかでも当帰四逆加呉茱萸生姜湯は、これからの季節、手先や足先の冷えや霜焼け、下腹部痛、腰痛に悩まれる方に適する処方で、当帰など八つの薬味に木通が加えられて、体を温め、血行を良くし痛みを取り除きます。

 高い所でゆれているアケビ、傘の柄で枝を引っ掛けて取った山の幸です。

 さてじっくり眺めてみると、どこから食べればよいのか分からない。どうしようかと眺めていると、「こうして食べる」と横から家族の手が出ておいしそうにほおばった後、プップと種を口から飛ばしました。

 私はまた次の秋もアケビに出会えることを山にお願いしましょう。

(笹川 悦子/笹川薬局社長/薬剤師)

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