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 いよいよゴールデンウィーク。4月からの環境の変化や連休中の生活リズムの乱れから、体調を崩す人も少なくありません。特に偏った食生活は疲労を加速させ、将来の生活習慣病の原因になることも。そこで、適切な食習慣や栄養知識を身に付けるコツを、「かるしおレシピ」でおなじみの国立循環器病研究センター(国循)の心臓血管外科医と栄養管理の専門家のお二人の先生にお聞きしました。

――連休明けに体調を崩す人が多くなる原因は何でしょう?
平野 春は就職や転勤、進学などで生活リズムが変わりますが、最も大きい変化は食生活です。朝食を抜き、昼食はファストフード、夕食が遅いという傾向は、ビタミン不足やミネラルの過不足に陥りがちです。さらに、外食や出来合いの食品はカロリーや脂肪、塩分の摂取量が気になります。

福嶌 そんな食生活を1か月も続けると体重が増加し、血圧も上昇します。特に、塩分を摂(と)り過ぎると、浸透圧の原理が働き、むくみが表れると同時に血圧も上がります。加えて、新しい職場や学校など慣れない環境からくるストレスも重なって疲労が蓄積し、〝五月病〟にかかる人が増えます。

――年齢層別にみられる〝不健康〟な食習慣は?
平野 近年は学校での食育が進み、若年層は健康意識が向上しているとはいえ、ペットボトル飲料への依存度が高いです。〝ペットボトル症候群〟の最大の問題点は、糖分の摂り過ぎです。2型糖尿病にかかる人も珍しくありません。中高年層では単身赴任族が危険です。会食の増加などで食事のコントロールが難しくなり、高血圧や糖尿病の悪化を招きやすくなります。一人暮らしの高齢者は同じものを食べ続けることで、栄養バランスが悪くなりがちです。

――疲労の蓄積や不健康な食習慣は心身にどんな影響を与えるのですか?
福嶌 ストレスがかかると脳からアドレナリンが大量に出て不整脈が起こりやすくなります。また、ストレスから過食や拒食になり、体調を崩す人もいます。私が担当する患者さんの中には先天性の心臓病の子どももいますが、新学期は緊張や不安が高まるうえ、周りの目を気にして薬を飲まない(飲めない)ことから、持病の悪化が加速するケースがあります。従ってこの時期は、大人も子どももストレスをためない工夫や環境調整がとても大切です。
 食事に関しては、糖分と塩分の摂り過ぎは10~20年後の生活習慣病につながります。特に塩分の摂り過ぎは高血圧や動脈硬化の原因にもなり、心臓や脳血管系の病気のリスクが高まります。

――食生活を改善するには何から取り組めばよいですか?

平野 国循では、わが国から循環器病をなくし、一人ひとりが健康でいられる社会を目指して「かるしおプロジェクト」に取り組んでいます。一方、個人としてできるのは、自分の塩分摂取量をチェックし、減塩への意識を高めることです。具体的には①料理の際、調味料をきちんと量る②コンビニ弁当などの調理済み食品はその成分表示をよく見て、塩分の高い漬物などは残す③だしを使ってうまみを出したり、彩りをよくしたりする、などです。国循が標準とする塩分量は1食あたり2グラムで、市販の書籍「かるしおレシピ」では家庭で作れる献立を紹介しています。

――疲労回復に効く方法を教えてください。
福嶌 疲労回復のカギは、1日3食をしっかりバランスよくとることと、上手に睡眠をとることです。食事ではビタミンBが多い豚肉、カリウム・食物繊維が豊富な玄米や雑穀米がおすすめです。玄米が苦手という人は白米に3割程度まぜて炊くと食べやすくなると思います。