TOPへ戻る

 食欲の秋はつい食べ過ぎてしまいがち。糖尿病など生活習慣病のリスクも高まります。糖尿病の国内患者・予備軍はそれぞれ約1千万人(厚生労働省推計)。全国糖尿病週間は、生活習慣を見直すよい機会です。食生活や規則正しい生活をなおざりにすることの危険性や、糖尿病の放置が招く深刻な事態について、社会医療法人愛仁会千船病院の糖尿病専門医、高橋哲也先生に聞きました。

――生活習慣病予防のために、食事に関してどのようなことに気を付ければよいのでしょうか?
 第一に「規則正しい食習慣」です。1日3食が基本で、朝食を抜いたり、朝食と昼食を兼用したりせず、3回に分けることが大切です。遅い時間に夕食を食べ、そのまま寝てしまうと内臓脂肪がつきやすいので、食事の時間にも注意が必要です。第二に「バランスの取れた食事内容」です。炭水化物やお菓子、甘い清涼飲料水は血糖値を上昇させるので気を付けましょう。第三は「適正なエネルギー量」です。腹八分目を心がけましょう。食事量が少ないのに太っているなら、間食が原因かもしれません。一日トータルで食べたものを見直してみましょう。

――血糖値が気になる人は、食べ方にも気を付けた方がよいと聞きました。
 野菜(ベジタブル)から食べ始める(ファースト) 、「べジファースト」をおすすめします。野菜やキノコ類、海藻類を食べてから魚や肉、その後にご飯やパンなどの炭水化物(糖質)の順で食事を進めます。食物繊維を多く含む野菜を先に食べると、血糖値の急上昇の抑制が期待できます。また、肥満予防策のひとつ「30回咀嚼(そしゃく)法」は、かむ刺激で満腹感を得られるので、食べ過ぎ防止効果があります。ただし、早食いでは意味がなく、ゆっくりとよくかんで食べることが大切です。

――糖尿病などが進行するとどのようなことが起こるのですか?
 血糖値や血圧、コレステロールのコントロールがうまくいかないと動脈硬化に進行し、狭心症や心筋梗塞を発症しやすくなります。同じことが脳で起こると脳梗塞発症のリスクが高まります。糖尿病に関しては、高血糖状態が続くと血管がボロボロになり、3大合併症である「末梢(まっしょう)神経障害」「糖尿病網膜症」「糖尿病腎症」につながりやすいです。末梢神経障害は知覚・自律・運動神経の機能が損なわれ、しびれや痛み、物が二重に見えるといった症状が表れます。糖尿病網膜症は一定以上進むと失明リスクが高まります。糖尿病腎症は足のむくみや血圧の上昇が起こり、腎臓機能が低下し、最終的には人工透析治療が必要となります。決して高血糖状態を放置せず、適切な治療を受けていただきたいです。

――高血糖状態に気づくサインはあるのですか?
 軽い段階では自覚症状はほとんどありません。進行すると喉が渇く、多尿になるなどの症状が表れ始めます。わかりやすいのは「夜中に尿意をもよおして起きるようになった」ということです。朝まで起きなかった人が夜中にトイレに行くようになると注意が必要ですね。この段階では脱水症状が進んでいますので、喉の渇きを以前より強く感じるようになります。こういう場合に糖分が多い清涼飲料水をたくさん飲むと、さらに血糖値が高くなり、悪循環となります。

――糖尿病にかかりやすいタイプとは?
 運動習慣のない人や夜型の生活をしている人は内臓脂肪がつきやすいです。不眠も生活習慣病との相関関係があるとされています。睡眠時間よりも、熟睡感のある質の良い睡眠をとれているかどうかがポイントです。ひとり暮らしの人も、外食しがちで食事が偏りやすい傾向にありますので、気を付けた方がいいですね。

――糖尿病の予防法や進行を防ぐための方法について教えてください。
 症状が出る前に定期検診やメタボ健診を受け、きちんと対処することが大事です。糖尿病の疑いがある人(予備軍)は保健指導を受け、「糖尿病予防のための心がけ」(※下表参照)を実践してください。自己管理で、本格的な病気に進むのを食い止めることが可能です。糖尿病にかかっている人はしっかり治療を受けることが不可欠です。治療と並行してライフスタイルの改善にも取り組みましょう。