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 待ちに待った夏休み。アウトドア派もインドア派も、長期休暇は楽しみですね。でも、せっかくの休暇も、体調を崩してしまっては台無し。熱中症の危険が高まる夏は、実は脳梗塞などの恐ろしい病気も起きやすい季節なのです。夏に起こりがちな病気や体調変化、対処法について大阪国際がんセンターの向井幹夫先生に解説していただきました。

夏にしがちな不摂生とは

 冷たいものを飲み過ぎたり、室内の冷房を利かせすぎたり。暑さによる慢性疲労もあって夏は体調を崩しがちです。寝苦しく、睡眠不足になる方も多いかもしれません。疲れて食欲がわかないからと朝食を抜くと、ますます体力が落ち、夏バテや夏風邪、水分や塩分の摂取不足による熱中症を引き起こす危険が高まります。

 ビアガーデンやバーベキューなど飲酒の機会も増えますが、アルコールの取り過ぎは脱水になりやすく要注意。二日酔いになると無性にのどが渇くでしょう? 渇きを潤すつもりが脱水症状を引き起こし、熱中症へとつながりかねないんです。

 旅先で解放感が高まり、はしゃぎ過ぎてしまうのも問題です。初めての場所でいきなり動き回ると、暑さの程度がわからず体が慣れていない分、疲労をため込みやすいもの。最近は便利なレジャーグッズが増えた反面、無理をしたり事前の下調べや準備を怠ったりする方も多いようです。自身の知識や体力を過信しないよう心がけたいですね。

夏に陥りがちなトラブル

 熱中症で救急搬送された人は昨年5~9月、全国で5万人を超えました。熱中症で亡くなる高齢者が多いのは、感覚が鈍って暑さに気付かないことが原因といわれています。小さいお子さんや病気をお持ちの方で体調が悪い方などは、本人が平気だと言っても、周囲の方が注意して水分補給を促してください。発汗量が多ければ適切な量の塩分を取ることも必要です。また、夏の暑い時期に熱中症などで急激に脱水状態になると血栓ができやすく、脳に酸素や栄養を運ぶ血管が詰まると脳梗塞を発症することがあります。寝不足やストレスによるイライラが加わると、不整脈や心筋梗塞が発症することも報告されています。

 屋外でのレジャーでは日焼けにも要注意。日焼けは「サンバーン」といってやけどと同じ病態です。日焼けによる炎症により体液が消耗されるため脱水をきたします。怖いのはその症状が後からくること。紫外線を浴びた後数時間で皮膚が赤くなり、家やホテルに帰った後に日焼け症状と脱水症状でダウンするケースもあり注意が必要です。早めの水分摂取と日焼け防止が重要です。また、エアコンの利いた室内と屋外の温度差が5度以上開くと、冷房病の危険も高まります。いわゆる自律神経失調症で、体温調節が利かなくなり倦怠(けんたい)感や頭痛、下痢などの症状が表れます。健康な方はもちろんのこと、病気で治療を受けている方は要注意です。特に服薬をしている人は、あらかじめ主治医に相談をしたり病状を記載した書類を持参したりしておくと旅先でも安心です。

万一トラブルに陥ったら

 水分はのどが渇く前に取るのが基本。運動量によりますが、運動や作業の30分前に200~500㏄の水分を取るようにしましょう。運動中は適宜自由に飲む「自由飲水」が基本ですが、子供さんやお年寄りの方の場合には時間を決めて飲む「強制飲水」が必要です。また、暑い中、汗をかきながら仕事や激しい運動をしている方は、夜寝る前に体重を量り体重が2%以上(大体1㎏以上)減っていたら必ず水分や食事で減った体重を補うことも重要です。

 スポーツドリンクや経口補水液で水分と塩分を早めに補給してください。体重の2%以上発汗すると、塩分がどんどん排出されるため、水だけ飲ませるのは危険です。自分の名前が言えない、応答が鈍いなどの症状がみられたら、すぐに病院へ。症状が進行すると、自己温度調節機構が破綻をきたし、腎不全や多臓器障害を発症し生命にかかわる状態となってしまいます。規則正しい食事と睡眠、適度な運動で健康を保ち、楽しい夏休みを過ごしてください。