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 よく耳にするものの、海外に比べ、日本ではまだ普及率の低いジェネリック医薬品。有効成分や効果はそのままに、実は品質改良がなされていたり医療費の抑制につながったり、ジェネリック医薬品ならではの特長があります。
2月4日、東京・有楽町のよみうりホールで、ジェネリック医薬品への理解を深めるシンポジウムが開催されました。

主 催/読売新聞社
後 援/厚生労働省、日本医師会、日本薬剤師会、国民健康保険中央会、健康保険組合連合会、 全国健康保険協会、日本ジェネリック医薬品学会
協 賛/日本ジェネリック製薬協会

基調講演 脳からカラダを健康に

 脳科学者の立場からいいますと、健康とはバランスのことです。私は、ちょっと太めの体形ですが、太っているからといって不健康なわけではありませんし、痩せすぎもよくありません。また、どんなに体に良い健康食品でも、それだけを食べていればいいというわけでもありません。何事もバランスが大事ということです。

 ジェネリック医薬品も、限られた国の予算をバランスよく使うための一つの方法です。薬を開発するには、すごくお金がかかります。長い時間と多くの手間をかけて臨床試験を行い、確かなエビデンス(科学的根拠)を得て、ようやく治療薬として認められるわけですから、製薬会社はその研究開発費を回収しなければなりません。そこで、新薬を開発した会社が費用を回収し終えた頃に、同じ成分、同じ効果を持つジェネリック医薬品として他の会社が安価に提供することを認め、医薬品にかかる予算をほかの医療や福祉にまわそうとしているのです。

 健康のためには、定期的に適度な運動を行うことが良いといわれますが、運動をすると、脳のさまざまな回路も活性化されます。脳の回路を強化してくれるのが、ドーパミンという脳内物質です。何か新しいことに挑戦したときに出てくる神経伝達物質で、脳や体を元気にしてくれます。なぜ子どもがあんなに元気なのかといえば、毎日のように初めて経験する出来事があって、ドーパミンがよく出ているからなんですね。ですからみなさんも、年を重ねても、ぜひ新しいことに挑戦し続けてください。

 健康は幸せとも非常に深く結びついています。さまざまな研究から、人間の幸せの条件は「他人との絆」であることがわかっていますが、他人とのかかわりを通して、長所も短所も含めて自分の個性を知り、受け入れることで、人は幸福感を得られるんですね。お互いの個性を認め合うこと、新しいことに挑戦すること。これが、いつまでも心と体の健康を保つために大切ではないかなと思っています。

パネルディスカッションカラダも家計も健康に~ジェネリック医薬品という選択~

自分の健康は自分で守る 薬局を気軽に利用して

関谷 健康増進のために、国としてはどんな取り組みを行っていますか。

大西 今年1月から「セルフメディケーション税制」という、医療費控除制度が始まりました。処方箋がなくても薬局で買えるようになった「スイッチOTC医薬品」を年間1万2000円以上購入すると、税制優遇を受けられるというものです。日本は、平均寿命と健康寿命との間に平均9〜12年の差があり、この差の主な原因は生活習慣病です。適度な運動、適切な食生活、禁煙を心がけるとともに、こうした制度も活用して、自分の健康は自分で守るという意識を高めていただきたいと思っています。

武藤 OTC医薬品とは「オーバー・ザ・カウンター」という意味で、薬剤師さんへの相談のもと、カウンター越しに買える薬のことをいいます。

山口 薬局はただ薬を調剤してもらう場所から、いろいろな相談ができる場所へと変わりつつあります。私たち薬剤師も、その患者さんにとってベストな選択肢を提案する役目があると感じています。昨年4月からは「健康サポート薬局」制度も始まりました。薬は逆さまから読むと「リスク」。セルフメディケーションといいますが、自分だけの判断では危険な場合もあります。ぜひみなさんには、かかりつけ薬局、「マイ薬剤師」を持ち、薬局を気軽に利用していただきたいですね。

医療費の節約は大きな課題 薬の飲み残しを減らそう

関谷 病気になると、医療費の負担も気になります。国の財政的には医療費の負担は毎年1兆円ずつ増えているそうですね。

大西 現在は、国の政策的支出の5割強を社会保障分野で占めており、その3分の1程度が医療関係です。医療費の財源は、税金が約4割、みなさんの保険料が約5割ですが、人口減少が進み、経済規模の拡大があまり見込めない中で、国民皆保険制度の安定的な維持は非常に重要な課題です。国全体としても、各家庭でも、医療費の節約は大きなテーマといえます。

関谷 お薬代も大きく関わってきますね。

山口 最近は、医師も薬剤師も「ポリファーマシー(多剤投与)」に着目し、薬の量を減らすよう取り組んでいます。これには患者さんの意識改革も必要です。飲み残しがどのくらいあるのか、どうしたら飲み残しを減らせるのか、ぜひ薬剤師に相談してみてください。一緒に考えていければと思います。

武藤 現在、全国の残薬薬剤費は400億円ともいわれていて、昨年の4月から「節薬バッグ運動」という取り組みも始まりました。飲み残した薬を袋に入れて薬局に持ち込むと、その分を差し引いて調剤を行うので、負担額が安くなります。もちろん、期限の切れた古い薬剤は対象外ですが。

関谷 薬の足し算、引き算を上手に行うためにも、お薬手帳は大切ですね。

陣内 私の母は、どこへ行くにも必ずお薬手帳を持参しています。外出先で何かあって、お医者さんにかかった場合でも、薬歴や持病がわかるので安心なんだそうです。

ジェネリック医薬品普及には患者側も意思を伝えよう

関谷 医療費の削減という点で、ジェネリック医薬品は重要な選択肢になりそうですね。

武藤 ジェネリック医薬品とは、新薬の特許期間を過ぎたあとに作られる医薬品のことで、先発薬と同じ有効成分、同じ効果を持っています。有効成分の濃度や効果に違いがないことは証明されていますし、製剤改良もされているのですが、医師、薬剤師、患者さんに行った意識調査では、ジェネリック医薬品の使用に抵抗感を持つ方がそれぞれ一定数いて、理解が進んでいないなと実感します。

陣内 実は、先発薬が新薬と呼ばれていることもあり、ジェネリック医薬品は古いレシピで作られているものだと誤解していました。また、病気のときくらいは、ケチケチしないでおこうという心理も働いてしまって。

大西 先発薬にブランド品のようなイメージがあるのかもしれませんね。海外では、アメリカで約9割、ドイツで約8割と全医薬品に占めるジェネリック医薬品の使用割合が圧倒的に高いんですが、日本はまだ5割ちょっとです。国としては、8割以上の使用を目標としています。

山口 ジェネリック医薬品には、味や形状などの改良が進んでいるものもありますから、まずはそうした品質面での情報を患者さんに提供していくことが大切ですね。私の所属する薬局では、患者さんがジェネリック医薬品の利点をよく理解されるようになって、普及率はかなり高くなりました。また、薬代の節約という点でも、月々の節約額は少額でも、年間ではそれなりの金額になります。家計を守るために、ジェネリック医薬品に切り替える価値は十分あると思います。

関谷 今後、ジェネリック医薬品を普及させるためには、どうしたらよいでしょうか。

大西 現在、各製薬会社と協力して高品質のものを安定的に供給する体制づくりに取り組むと共に、ジェネリック医薬品の普及に努めている薬局などへのインセンティブを実施しています。広報活動にも引き続き力を入れていきたいと思っています。

武藤 かつて低品質のジェネリック医薬品が流通したことがあったために、その印象を残したまま、現在のジェネリック医薬品の実態を知らずに抵抗感を持っている医療従事者は少なからずいます。ですから、医療従事者への普及啓発も非常に重要だと思いますね。

山口 患者さんご自身がお薬手帳に「ジェネリック医薬品希望」と書いておくか、ジェネリック医薬品希望カードを挟むなどして、患者さん側から意思を伝えるのもよいと思います。

陣内 患者はつい受け身になりがちですが、もっと質問したり相談したりすることで、医師、薬剤師、患者の全員が情報を共有して、いい方向に進めるのですね。

関谷 今日は大変貴重なお話を伺うことができました。ぜひみなさんも、ご家族やお知り合いとジェネリック医薬品について話し合ってみてください。

日本ジェネリック製薬協会
http://www.jga.gr.jp/