TOPへ戻る

 2月15日は「国際小児がんデー」です。わが国では毎年2000~2500人の子どもが「小児がん」と診断されていますが、大人のがんと異なり、早期発見と適切な治療で70%以上は治る病気です。「小児がん」を正しく理解するため、種類や治療法、周囲のサポートの重要性などについて、兵庫県立こども病院小児がん医療センター長の小阪嘉之先生にお聞きしました。

小児がんは希少がん 大人のがんとの違いとは

 「小児がん」は一般的には16歳未満で発症するがんを指し、発生数は年間2000~2500人という「希少がん」です。大人はいわゆる5大がんを代表とする上皮性がんが多いですが、小児がんは白血病が全体の約4割を占め、次いで脳腫瘍、悪性リンパ腫、神経芽細胞腫などが続きます。生活習慣が原因と考えられるものは少なく、先天的な遺伝子異常などが原因となる場合もあります。予防の手だてがほとんどないことも、大人のがんと異なる点でしょう。

 まれな病気であるため、発熱や頭痛、リンパ節の腫れ、骨や関節の痛みといった初期症状だけでは見極めが難しいですが、「おなかが出っ張ってきて、硬い腫瘤(しゅりゅう=しこり)が触れる(腹部腫瘤)」「目が白く光って見える(網膜芽細胞腫)」など見た目で異常を感じる場合もあるので、何かおかしいと感じたら医療機関を受診されることをおすすめします。

治癒率は70%以上 医療の進歩により向上

 治療については、薬物療法(抗がん剤治療)、外科的手術、放射線療法、造血幹細胞移植などを組み合わせて行います。子どもの体は細胞分裂や増殖が活発なため、症状の進行は早いのですが、その分、薬物療法の効果が大人に比べて高いのも特徴です。ここ数十年の医療の進歩で、現在ではおよそ70~80%に治癒が見込めるようになってきました。

 白血病の中でも特に多い急性リンパ性白血病は、1960年ごろはほとんど治らない病気でした。しかしその後、新たな抗がん剤の開発、診断技術の進展などもあり、今では90%以上が治るようになりました。

 より晩期合併症の少ない陽子線治療が、20歳未満のがん患者に対して昨年4月から保険適用となったのも、患者の負担が軽くなり、明るい話題です。

心身両面で親子をサポート ボランティアも大きな力に

 わが子が「がん」と診断された時、親御さんは衝撃的な現実が受け入れられず、恐怖と悲しみに打ちひしがれます。子どもの心も大きな不安でいっぱいになります。そこで大切になるのが、患者さん本人と親、医療チームが信頼関係を作り、前向きに治療に向き合っていくことです。担当医を中心に、看護師や臨床心理士、緩和ケアチームなどもメンバーとなり、心身両面からのケアに取り組んでいきます。学童期の場合、入院中の学習支援も大きな課題です。院内学級を設置するほか、治療後にスムーズに学校生活に戻れるよう、教育現場との情報交換も行います。

 ボランティアや患者会の方々のサポートも大きな力となります。将来のある子どもたちを社会全体で支えていきたいですね。