TOPへ戻る

 大学入試センター試験が終わり、受験シーズンはピークを迎えます。これまでの勉強の成果を発揮するためには、当日の精神状態が大きなカギを握ります。本番で心の安定を保つコツや、ストレスとの上手な付き合い方を新宿ストレスクリニック梅田院(大阪市北区)の鈴木尚友院長に聞きました。

――心を落ち着け、実力を発揮する
 受験当日、一番大切なのは「普段通り」に取り組むことです。過剰に意気込んだり焦ったりしては、実力を出せません。心を落ち着ける方法で一番簡単なのは深呼吸。さらに普段と同じ文房具を使い、目に入る物が同じという状況も有効です。勉強におけるルーチンがある人は、それも普段通り実行しましょう。
 睡眠のリズムを整えることも重要です。寝る前はスマートフォンなど明るいものを見ない、熱いお風呂で体温を上げすぎない、朝日を浴びて目覚め、体内時計を整えるなどの点に気をつけてください。質の高い睡眠は、思考力を高め、記憶を定着させる効果があるので、本番1週間前までには生活習慣を見直しましょう。

――思春期のストレスと大人たちの関わり
 
受験前は特に、普通に見えても内心落ち込んでいたり、つらかったりという精神状態です。周囲はなるべく普段通り接し、悩んでいることがあれば話を聞くというスタンスがいいでしょう。話すことで患者さんの気が楽になるというのは精神科の現場でもよくあります。無理に解決策を提案する必要はないので、手助けできることがあれば力を貸してあげてください。ただし、思春期は自我が固まっていないため、周りとの差や親や先生からの期待がストレスとなり、自分はダメだと強く思い込んでしまうことがあります。優等生だったのに急に勉強ができなくなる、部活動や遊びに興味を失う、学校を休みがちなどの様子が見られたら要注意。単なる不機嫌や反抗期ではなく、治療が必要かもしれません。

――余力を残し、ストレス量を上手に管理
 受験だけでなく、仕事、家事、人間関係と、何でも常に全力で取り組んでいると、突然大きなストレスを感じた時に耐えられなくなってしまいます。手順や曜日、時間を決めてできることはルーチンとしてこなし、意識して余力を残しましょう。ストレスは本来、人間が生き残るための仕組みです。祖先が外敵や知らないものにストレスを感じて逃げたからこそ、人間は生き延びてこられました。けれど、社会の中でストレスを感じる機会が増えた現在、それが一定量を超えると、人によっては不眠、食欲低下、疲れやすいなどの症状が出てきて、ひいてはうつ病の発症につながります。うつ病は怠けではなく、放っておくと命に関わる病気です。過重労働からうつ病になり、自殺に至る例のように、症状が進むと冷静な判断ができなくなってしまいます。そんなときは、周りがストップをかけなければいけません。少しでもおかしいなと思ったら、早めに医療機関に相談・受診をしてください。