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 慌ただしい年の瀬を迎えました。年末年始は忘年会や新年会などお酒を飲む機会が増えたり、離れて暮らす家族が集まったりして、普段とは違う生活サイクルで一日を過ごす日が増えます。寒さも増すこの時期、健康に注意すべき点を大阪医科大学健康科学クリニック所長の後山尚久先生に聞きました。

――体も部屋もあたたかく 
 寒くなると、冷えが原因で体にさまざまな不具合が出てきます。例えば、血の巡りが悪くなり、関節など体の各所に痛みが出てくる人も多くなります。また、体が冷えると自律神経や交感神経が緊張するため、気持ちもイライラしがちです。
 インフルエンザなどの感染症も増加します。ウイルスは気温が高いところには弱いのですが、寒くなると元気になり長生きします。一方で、ウイルスを食べる貪食細胞は、体温が高いと活発に活動しますが、低くなるとあまり働かなくなるため、免疫力が弱まります。これが感染症の増える原因です。体も部屋もあたたかくして毎日を過ごしましょう。

――自律神経の乱れに注意 お酒と正しく付き合おう
 
忘年会や新年会など、年末年始はお酒を飲む機会が増えます。暴飲暴食はもちろんだめですが、飲んだ後、店から急に寒いところに出るのも体に良くありません。体がぽかぽかしているところで、突然外に出ると、自律神経の調節が難しくなります。血管が攣縮(れんしゅく)して心臓発作や、血圧が上がり脳出血などを起こす可能性もあります。酔っていると寒さに気づきにくいので注意が必要です。
 人間は同じサイクルで生活していれば、体が当たり前の機能を果たしますが、年末年始など生活サイクルが変わると自律神経が大きく乱れます。そうすると消化機能なども低下します。自分が「これがいい」と思う生活サイクルを続けていくことが体にとっては一番いいんです。

――肌の健康は胃腸の健康から
 
冬は湿度が低いので、どうしても皮膚が乾燥しがちです。乾燥を防ぐには保湿剤を塗るしかありません。皮膚は人間の表面を覆っていますが、実は胃や腸などの消化管とつながっているため、皮膚の健康は消化管の健康と同じだという考え方があります。アトピー性皮膚炎やアレルギー性の発疹が出る人は、腸内環境を整えると、症状が和らぐことがあります。腸内環境を整えるものとして、ヨーグルトや納豆などの発酵食品がよく知られています。
 肌の乾燥は、いわば皮膚のバリア機能がおかしくなっている状態。消化管のバリア機能の改善も意識しましょう。食品添加物や防腐剤は腸管を痛め、バリア機能を乱します。細胞を作るのを補うたんぱく質やビタミン類をとりましょう。

――健康診断は年内に 家族の変化にも注意して
 健康診断を受けて再検査を受けるよう指摘されたのに、受診しない人がいます。今年中に病院に行きましょう。年を越すとなんとなくリフレッシュした気持ちになってしまうので、年内に受診するべきです。
 年末年始は、離れて暮らしている親や子どもと会う機会も増えます。高齢の親に久しぶりに会うと「食事の量が減った」「立ち上がる動作が緩慢になった」「同じ話を繰り返す」などの変化に気づくことがあります。様子が気になったら病院に相談してください。
 親も子の変化に注意してください。忙しく働いている人の多くはストレスを抱えています。「言葉数が少ない」「笑わない」。そんなことに気づいたら、会話をしてあげてほしい。心を病んでいても、なかなか他人に相談できないものです。「いつまでたっても親は子どもの味方だ」ということが分かれば、不調は癒やされることがあります。