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 骨がスカスカになってしまう「骨粗しょう症」。女性に多く、特に60代からは急激に増えていくといいます。気付かないうちに背骨がつぶれて「いつのまにか骨折」してしまうこともあるという骨粗しょう症の予防と治療について、整形外科医の田中瑞栄先生をお招きし、フリーアナウンサーの関谷亜矢子さんがお話をうかがいました。

女性に多い骨粗しょう症

関谷  よく耳にする割には、骨粗しょう症が具体的にどんな病気なのか、予防や早期発見は可能なのか、意外にその実態を知りません。

田中 骨粗しょう症というのは、骨強度が低下して起こる病気ですが、まず骨が弱くなる要因の一つは代謝バランスの崩れです。新しい骨を作る骨芽細胞と、古い骨を壊す破骨細胞のバランスが加齢などによって崩れて破骨細胞が活発化すると、骨量がどんどん減ってしまいます。実は、この破骨細胞の働きを抑え、代謝のバランスを調節しているのが女性ホルモンで、女性の場合は、閉経時に急激にこの女性ホルモンが欠乏してしまうため、骨粗しょう症になりやすいのです。

関谷
 なるほど。ほかに骨が弱くなる要因は?

田中
 コラーゲンの劣化です。骨の成分にはカルシウムだけではなく、たんぱく質も含まれますが、年齢とともにそのたんぱく質内のコラーゲンが劣化すると、骨が弱くなってしまいます。

気をつけたい「いつのまにか骨折」

関谷 最近、「いつのまにか骨折」という言葉を知りました。

田中 なんとなく背中が丸くなってきた、背が縮んできた、すごく痛いわけではないけれど、背中や腰が痛むといった症状があるときには、「いつのまにか骨折」を疑ったほうがいいかもしれません。

関谷
 骨折しているのに、大きな痛みを感じないのですね。

田中
 痛みの大きさには個人差があり、気づかない方も多いんです。現在、日本には潜在的な骨粗しょう症患者が約1300万人いるといわれていますが、そのうち治療しているのは約300万人にとどまっています。

関谷 骨折を治療せずに放置していると、どうなるのでしょうか。

田中
 二つ目、三つ目と骨折の連鎖が起きます。65歳で骨粗しょう症の罹患(りかん)率が高くなるのは、その時期に二つ目の骨折が増えてくるからなのですが、進行すると、大腿(だいたい)骨などを骨折し、寝たきり状態ということも起こり得ます。また、背中が丸くなると内臓を圧迫するので、移動能力の低下だけでなく、そうした消化器系の疾患を引き起こすリスクも高まります。

関谷
 骨だけではなく、全身の不調につながるのですね。

田中
 平均寿命がのびている現在では、健康寿命との差を縮めていくことも大きな課題となっていて、国際骨粗鬆(しょう)症財団では、「Stop at One」というキャッチコピーを掲げています。これは、骨折の連鎖を断ち切り、一つ目の骨折で止めましょうというメッセージで、QOL(生活の質)を維持するためにも予防や早期発見に努めています。※QOL=quality of life

治療は生活習慣改善と薬の組み合わせ

関谷 予防策としてはどんなことが考えられますか。

田中 骨の量というのは、体ができあがる20歳くらいまでに決まり、それ以降に増えることはありません。ですから、まず体の基礎ができる思春期に、食事や運動で丈夫な骨を作っておくことが大切です。その時期の過度なダイエットは禁物です。

関谷
 今、私の娘が14歳ですけど、勝負はもう始まっているということですね。

田中 そうです。大人になってからは栄養バランスの良い食事と適度な運動、日光浴を心がけてください。運動は、ウォーキングやジョギングがいいですね。

関谷 紫外線のことを考えると日光浴には抵抗が(笑)。

田中 でも、紫外線は代謝に欠かせないビタミンDを体内で作ってくれるのです。1日に20〜30分でいいので、顔だけ日焼け止めを塗って、ぜひ日を浴びてください。

関谷 もし骨粗しょう症と診断された場合には、どんな治療法があるのでしょうか。

田中 基本はやはり食事と運動ですが、それでも改善がみられない場合には、薬を使用します。骨密度が著しく低下している場合も、薬による治療を開始したほうがいいでしょう。薬剤は、骨吸収を抑制するものと骨形成を促すものとがあり、患者さんの病態に合わせて処方を行います。

関谷 背中が曲がった・背が縮んだ・腰が痛いなどの症状があったら、まずは検査を受けることが大切ですね。

田中 そうですね。女性の場合は65歳を過ぎたら「いつのまにか骨折」かもしれません。レントゲン検査をしないと骨折は分からないので医師に相談してください。

●大切な骨、どうやってつくられているの?

 骨は、骨吸収(破骨細胞によって古い骨細胞が壊されること)と骨形成(骨芽細胞によって新しい骨細胞がつくられること)を繰り返し、徐々に新しい細胞へと生まれ変わっています。骨吸収と骨形成の働きのバランスが崩れ、骨吸収が骨形成を上回ると、骨がもろくなります。

骨粗しょう症による「いつのまにか骨折」についての詳しい情報はこちら