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 日本人女性の12人に1人が生涯に患うといわれている乳がん。早期発見で適切な治療を受ければ9割以上が治るとされますが、通院治療が長引き、仕事や日常生活との両立に悩むケースも少なくありません。そこで、QOL(生活の質)を保ちながら前向きに治療を続けていくための「セルフケア」の重要性や、患者を支える家族の心がけなどについて、大阪府立成人病センター(※)の専門医と看護師に聞きました。 ※来春から「大阪国際がんセンター」に名称変更・移転


――乳がんの治療は近年、大変進歩していると聞きます。
玉木(以下敬称略) 治療は、(1)手術(2)放射線療法(3)薬物治療の三つを組み合わせて行います。昔と比べると、手術による乳房の切除範囲は縮小できるようになりましたし、失った乳房を人工的に取り戻す「乳房再建手術」も増えています。薬の治療も抗がん剤・ホルモン剤や分子標的治療薬など新しい薬も多く出てきました。どの治療から始めるかは、がんの状態や特性、患者さんの希望などによって異なります。多様な選択肢の中から最適な治療を行えるよう、話し合うことが大切です。

――入院期間は一般的にどのくらいですか。
玉木 切除する範囲や乳房再建手術を行うかなど条件によって異なりますが、短くて3~4日、長くて1~2週間程度です。薬の治療が進歩しましたので、退院してからの通院治療が長くなりがちです。仕事や日常生活とのバランスをとりながら治療を続けていけるかが、より大事になってきます。

――通院治療を続ける中で、どのような悩みや不安を抱えることが多いのでしょうか。
玉木 やはり再発の不安を訴える方が多いです。最近は治療の選択肢が増えていますので、どの治療法が自分に最も合うのかを迷われるケースも少なくありません。

渋谷 治療選択で悩まれている方には、その方の社会背景や日常生活、価値観に沿って支援します。若い方の場合、将来の妊娠や結婚に対する不安や悩みをよくお聞きします。抗がん剤の影響で卵巣機能が停止する場合がありますので、治療前の説明では、将来に備えて卵子を凍結しておく方法があることなども紹介します。また、年齢に関係なく共通する悩みは、ボディーイメージの変化です。体の変化をイメージしてもらえるよう、できる限り術後の写真や補正下着、人工乳房を事前にお見せするなど、私たち看護師は、不安や悩みに応じて必要なサポートを行っています。

――後遺症や副作用について教えてください。
玉木 手術の後遺症で最も大きいのは乳房の変形です。抗がん剤の副作用としては吐き気や倦怠(けんたい)感のほか、脱毛、手足のしびれなどが見られます。放射線療法では、照射した部分の皮膚が乾燥してかゆくなったり、強い日焼けをしたような症状や色素沈着を起こすこともあります。

闘病を支える周囲のサポートとセルフケア

――そうした症状に対する「セルフケア」が注目されています。
渋谷 前向きに治療を続けていくためには、QOLを保つことが重要だからです。脱毛については、脱毛や発毛の時期、かつらの製品説明やケアの方法に関する情報提供を治療前に行います。個人差はありますが、髪の毛だけでなく眉毛やまつ毛が抜ける方もおられます。その場合、術前に眉毛の位置を記録するための写真を撮り、術後にメイクしやすいように備えます。爪が乾燥してカサカサしたり、黒ずむといったトラブルには、指先を冷やして症状を和らげる手袋を紹介することもあります。肌の乾燥や色素沈着についてはスキンケアの方法をアドバイスします。さらに、「手術後の傷口に痛みを感じる」「放射線療法を受けた後、かゆみや乾燥に悩んでいる」「下着にすれると痛い」といった声も聞かれますが、最近、縫い目がなく、肌への刺激が少ない機能性下着が開発されました。

玉木 約20年前、アメリカの病院を見学した時、かつらや帽子、下着などのセルフケア用品がショールームのように病院内に展示されていたのを見て驚いた記憶があります。治療した後をどうするのかにも、もっと力を入れていくべきだと感じています。

――闘病中の患者さんにとって、周囲のサポートは心の支えになります。
玉木 ホルモン療法の場合、5~10年間はイライラするなど更年期障害のような症状が続くことがあります。周囲の人 にはそれが薬の影響であることを理解していただきたいです。

渋谷 乳がん治療は長くなることが多いですが、患者さんは元の生活に戻れるようにがんばっています。気分の浮き沈みなどつらい時期もあります。職場では病気のことを隠している患者さんも多く、一人で悩まないためにも、ご家族の理解やサポートは大切です。

――乳がん治療において、最も大切なことは何ですか。
玉木 根気よく焦らず続けることです。病気を治すことはもちろん大事ですが、その後の人生を「生きるための治療」です。「5年、10年先にどんな自分でいたいか」をイメージしたうえで治療法を選ぶことが大切です。それから、どんながんにも言えることですが、早期発見に勝る治療法はありません。早い段階で見つかれば治療の選択肢が広がり、治る確率も高くなります。一人でも多くの女性が乳がん検診を受けられることを願っています。

 

Newsセルフケア・フェア 9月16日に開催

 大阪府立成人病センターでは、16日、がん患者を対象とした「セルフケア・フェア」を同センター外来スペースで行う。協力企業11社が参加し、かつらや帽子、化粧品やスキンケア用品、機能性下着など、治療を受けながらできるだけ普通に日常生活を過ごすために必要な製品を展示・紹介する。参加無料。患者本人だけでなく、ご家族や友人も気軽にご参加を。

日 時

2016年9月16日(金)午前11時~午後4時

場 所

大阪府立成人病センター

交 通

JR・大阪市営地下鉄「森ノ宮」駅 徒歩約3分

【参加予定企業】アートネイチャー、アスト、アデランス、上羽絵惣、花王、グンゼ、サンスター、資生堂、スヴェンソン、第一三共ヘルスケア、ロート製薬(50音順)

※イベントは終了しました。

フェアに関するお問い合わせ
大阪府立成人病センター 広報企画グループ

06・6972・1181(代表)

  

グンゼ株式会社  お肌が敏感になった方のセルフケアをサポートする低刺激肌着 「MediCure(メディキュア)」

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