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 保健分野の国際的な課題について、先進か国(G7)、欧州連合(EU)の保健担当大臣、世界保健機関(WHO)などの国際機関代表が集まって議論する「G7神戸保健大臣会合」が11日、12日の2日間、神戸市内で開催される。主要議題のひとつ「感染症」への対応策や、神戸が世界に発信できることなどについて、WHO健康開発総合研究センター(WHO神戸センター)の専門家に聞いた。

感染症対策は各国の連携必要

――今、世界で流行リスクのある感染症にはどんなものがあるのですか。

 日本は感染症対策が進んでいる国ですが、世界各地を見れば、ジカ熱、中東呼吸器症候群(MERS〈マーズ〉)、エボラ出血熱など、多くの感染症の流行が報告されています。中国の内陸部の一部地域では、致死率の高い凶悪なインフルエンザが発生しているようです。今は、鳥や家畜と密接な接触をしない限り感染しないとされていますが、人から人に感染するタイプにウイルスが変異すると大変なことになります。

 

――人やモノが常に移動するグローバル社会において、感染症の拡大を防ぐためにはどのような対策が必要でしょうか。

 もはや一国だけでの水際対策には限界があります。日本できちんと対策を取っていても、他の国ができていないと、感染の拡大は止まりません。各国が連携して取り組むことが大切です。WHOでは、国際保健規則(IHR)の中で、公衆衛生上の緊急事態が発生した時に加盟国がどう取り組むかを定めています。西アフリカのエボラ出血熱の流行では、脆弱(ぜいじゃく)な保健システムが背景にありました。これを改善し、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を達成していくことが必要です。G7各国はIHRの実践や評価など様々な点で世界をサポートしています。

 

――私たち市民は、感染症に対してどのような備えをすればよいのですか。

 信頼できる情報源から、正しい情報を得ることが大切です。インターネットなどで様々な情報が氾濫していますが、その情報を評価・判断する力が問われているともいえます。そのための教育が今、家庭や学校、社会に求められています。G7神戸保健大臣会合の関連企画として実施した「ひょうご・こうべ保健医療ハイスクールサミット」では、高校生が「感染症」など大臣会合のテーマについて調べ、自分たちに何ができるかを考え、提言にまとめました。

 

――感染症や防災などに関して、先進的な取り組みを進めている神戸から世界に発信できることは。

 神戸は震災から復興を遂げる中で、危機への対応に関して、多くの経験を有しています。災害対策において近年、「ビルド・バック・ベター」という言葉が認知され始めています。「被災前よりいいものを作り上げる」という意味ですが、神戸はすでに20年前にこれを導入し、創造的復興を成し遂げました。防災・健康・医療分野の研究機関が集積する新都心「HAT神戸」を開発したことは、先進的な成功事例です。世界に知られていない日本の知恵はまだまだあります。大臣会合の開催は、世界が神戸に注目する貴重な機会です。有意義なものになることを願っています。

 

 

日本のリーダーシップに期待

 神戸が世界的にも優れている点として、阪神・淡路大震災からの復興と防災ネットワークの形成、バイオメディカルという新たな分野での「神戸医療産業都市」の発展が挙げられます。G7神戸保健大臣会合の主要な議題のひとつ「感染症」においても、神戸は2009年の新型インフルエンザの経験があります。国内初の患者さんが神戸で発見されたのですが、関係機関が連携して全力で対策に取り組み、迅速かつ適切な初動対応を見せました。
 WHO神戸センターでは、UHC、イノベーション、高齢化、これに加えて健康危機管理などについて研究を進めています。世界一の長寿国である日本は今、高齢化や認知症の対策を迫られています。高齢者がQOL(生活の質)を維持できるよう、コミュニティー全体で見守っていく取り組みを進めており、生活習慣病対策でも実績があります。今回の主要議題のひとつ「UHCの実現・達成」においても、1961年に導入された日本の国民皆保険制度をはじめ介護保険制度などは、世界から注目されているところです。今回の大臣会合では、日本がこれまで経験してきたことや研究の蓄積などを世界に発信し、リーダーシップを発揮できると期待しています。


  G7神戸保健大臣会合とは? 

 5月に行われた伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)の関係閣僚会合のひとつ。「神戸医療産業都市」の取り組みなどが高く評価されたことから神戸での開催が実現した。G7、G8の枠組みでの保健大臣会合は、2006年モスクワ(ロシア)、15年ベルリン(ドイツ)に続き3回目の開催。
※G7=日本、アメリカ、フランス、ドイツ、イギリス、イタリア、カナダ

 議 題 (予定) 

1.公衆衛生危機への対応
感染症対策、災害・紛争時の対策のこと。感染症は、グローバル化により、国境を越えての流行が増加。2014年の東京・代々木公園でのデング熱感染は記憶に新しい。

2.薬剤耐性(AMR)対策
抗生物質の効かない菌が増える一方で、新たな抗生物質の開発も減少傾向に。このままでは感染症の治療法がなくなる危険性が指摘されている。

3.ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の推進
「世界中の誰もが、必要な時に負担可能な費用で基礎的保健サービスを利用できる状態」を指す。日本の国民皆保険制度もそのひとつ。アフリカやアジアでは、病気になっても治療を受けられない国が依然として残っている。

楽しみながら学べる
8日から医療健康フェア

 G7神戸保健大臣会合の開催に向けて、医療・健康について考える機会を増やそうと、シンポジウムや講演会など市民参加型の企画が数多く行われてきた。8日からは「ひょうごKOBE医療健康フェア」を開催。子どもを対象とした薬の調合体験のほか、兵庫・神戸の魅力を紹介するコーナーやG7参加国のグルメが楽しめる屋台コーナーなども。ぜひ来場を。

日(木)~11日(日)
午前10時~午後

神戸国際展示場3号館  
(ポートライナー「市民広場」駅 下車すぐ)

※イベントは終了しました。

G7神戸保健大臣会合推進協議会 事務局
TEL 078-322-6806
G7神戸保健大臣会合について 詳しくはこちら