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 一見、元気そうな人が、本人に自覚症状がないだけで実は病気だった、なんてことは少なくありません。専門機関での定期的な検査が、自分自身や家族の健康を守ることにつながります。
 7月12日は人間ドックの日(※)。多項目にわたって詳しく検査を行い、多くの病気の早期発見に効果が期待できる診断方法について、その必要性やメリットなどを、大阪府立成人病センター(来春から「大阪国際がんセンター」に名称変更・移転)の専門医に聞きました。
※日本で初めて人間ドックが行われた日(1954年7月12日/国立東京第一病院=現・国立国際医療研究センター)を記念して制定。 

――人間ドックで、よく見つかるのはどんな病気ですか?
(以下敬称略) 「がん」や「生活習慣病」ですね。「がん」でよく見つかるのは食道がんや胃がん、大腸がんです。専門医が胃・大腸カメラで検査するので、集団健診で行われるX線透視や検便では見つからないレベルの早期がんも発見できる可能性があります。発見が早く、すぐに治療ができれば、5年生存率は9割以上に。要するに、早く見つければ治る可能性が高い。だったら、受診しておいた方がいい。
 「生活習慣病」は高血圧や脂質異常症、糖尿病、肥満のことで、脳梗塞や心筋梗塞、腎不全の原因となる動脈硬化を引き起こす危険因子です。生活習慣病や動脈硬化の兆候がみつかれば、「予防」でより重大な病気の発症を防ぐことができます。初期には自覚症状がない危険因子を自覚し、知らない間に動脈硬化が進行しないよう、生活習慣を改める良いきっかけになります。

――「職場や自治体の健康診断を受けているから大丈夫」と思っている人も多いようですが……。
向井 
職場で受ける集団健診と、個人が任意で受診する人間ドックとでは、検査項目の数が違います。後者の方が圧倒的に多い。これは、そもそもの位置づけや目的が異なるからです。人間ドックは個人が自主的に病気の早期発見・治療によって死亡リスクを下げるために受けるものですが、集団健診はあくまで労働者の安全確保や集団全体の死亡率を下げることを目的としたものなので、雇用者の管理的な意味合いが強い。基本的な検査項目は押さえているものの、決して十分とは言えません。
 したがって、一般の健診では見逃されていた異常も、人間ドックであれば、多項目かつ高精度な検査によって早期に発見でき、迅速な治療につながることが多いのです。

 

――血液検査の結果、血糖値やコレステロール値に一喜一憂することが多いのですが。
向井 数値はあくまで「目安」。個人差もあります。肝心なのは、現在のその数値が、上昇傾向にあるのか減少過程にあるのかを知ること。そのためには、定期的な受診によって「経年変化」を把握しておかねばなりません。さらに、その数値が自分にとって適正なのかどうかを知るには、やはり医師の診断が必要。人間ドックなら、より的確な診断と適切な指導が受けられるので、運動や食事療法によって改善できるレベルなのか、治療が必要かどうかを、詳細な検査に基づいて診断してもらえるのです。

――人間ドックは何歳ぐらいから受診し、どのくらいの間隔で受けるのが望ましいですか?
 一般的には、40歳を過ぎた頃に初めて受診し、その後、50歳までは2年に1度、それ以降は年1回の受診が理想的とされています。

――人間ドックを受診することによって得られる最大のメリットとは?
向井
 何より、早期発見・早期治療によって、死亡リスクを下げられることです。その上で健康寿命を延ばすためには、寝たきりにならないように心がけること。ちなみに、日本人の平均寿命は女性が86歳、男性は80歳ですが、寝たきりになる期間は女性が9年、男性は5年と言われていますから、健康寿命という意味では、実はあまり大差がないんです。

――「病院」や「検査」という言葉の響きに対する不安や費用の面から、人間ドックを敬遠してしまう人も多いのでは。
岡 
会社や健康保険組合、自治体が費用を補助してくれる場合もありますし、オプションとして、がん検診や脳ドック、心臓ドックなどの専門ドックを受けることもできます。自分をよく知り、明るい未来を生きるためにも、一人でも多くの人に人間ドックを受診してほしいと思います。
向井 健康寿命とは「楽しんで生きること」。何事も楽しみながら、前向きにとらえて生きていくことが肝心です。確かに、病気が見つかることは悲しいことだけれど、それによって早期に治療でき、長生きできる可能性が開かれる。今よりもっと充実した生活を送るための人間ドックだと思えば、不安も払拭できるはず。6つの健康習慣(※下図参照)を守って、豊かな人生を送っていただきたいですね。