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 6月4日~10日は「歯と口の健康週間」。歯の健康は全身の健康と実は密接に関係しています。
成人の約8割がかかっているともいわれる歯周病と、その合併症のひとつである糖尿病の症状や予防法などについて、大阪府立成人病センター(来春から「大阪国際がんセンター」に名称変更・移転)の専門家にお聞きしました。

糖尿病患者は歯周病発症リスクが3~4倍!?

 

大西 歯周病は、口の中に約700種類いるとされる細菌と歯周ポケットに潜む歯周病菌が歯の周囲組織である歯槽骨と歯肉、それらをつなぐ線維組織を攻撃して感染を起こす細菌感染症です。
 歯がしっかりとみがけていないことが原因のひとつとして考えられ、痛みなどの自覚症状がないまま歯がぐらぐらしたり抜けてしまったりすることもあります。

山﨑 糖尿病患者はそうでない人に比べて歯周病の発症リスクが3~4倍高いというデータがあります。高血糖状態になると歯肉の中の糖分も高くなり、口腔(こうくう)内の細菌も増えやすくなります。
 さらに血管が弱くなり、免疫力も落ち炎症が起きやすくなります。炎症が起きるとサイトカインなど炎症性の物質が出てきてインスリンが効きにくくなり、糖尿病の状態をさらに悪化させるという負の連鎖が起きるのです。
 糖尿病の初期は特異な症状はほとんどなく、多くは健診などで発見されます。遺伝的な要素に加えて、過食や運動不足などの環境因子が原因として考えられます。

それぞれの病気の合併症や生活への影響

 

大西 歯周病がこわいのは、むし歯と異なり一本ずつ何本もの歯が次々と抜けて失われ、嚙(か)む力が低下することです。そうすると食べられる食材が制限されるほか、しっかり嚙まずに食べることで唾液分泌が減少、潤滑作用や消化作用、洗浄・抗菌作用などの働きが弱まります。

 一方、糖尿病で血液中の糖濃度が高くなると細胞が脱水状態に陥り、唾液の分泌量も減少します。歯を何本も失って嚙む力が弱っているところに糖尿病による唾液分泌量の減少が加わると、さらに歯周病菌が繁殖しやすくなるという悪循環が起こります。

山﨑 糖尿病は長年続くと合併症が起こりやすくなります。
「網膜症」「腎症」「神経障害」が3大合併症といわれています。また動脈硬化も糖尿病の合併症で、脳卒中や心筋梗塞を発症するリスクを高めます。

大西 歯周病は糖尿病や心疾患・脳血管障害などの血管障害のほかにも、早産・低体重児出産、誤嚥(ごえん)性肺炎、関節リウマチなどとの関連もあるとされています。

歯の寿命延伸には歯周病予防が不可欠

 

大西 最も大切なことは毎食後の歯みがきです。
就寝中は細菌が増えやすいため、就寝前の歯みがきは特に丁寧に行ってください。また、20歳代後半から気を付け、歯周病のサイン(※別項参照)を見逃さないでください。
 気になることや不具合があったら歯科医に相談し、歯科衛生士から正しい歯のみがき方を指導してもらうなど、早期に対応することが大切です。

糖尿病予防には家族の協力も必要

山﨑 まずは日ごろから積極的に体を動かし、体重管理に努めることが重要です。筋肉量が落ちると代謝機能も低下して糖尿病になりやすくなります。
 もう一つ大切なことは食生活です。バランスのとれた食事習慣が身につくように、ご家族の協力も必要だと思います。これからの時期は気温が上昇し、水分摂取量が増えますが、ジュースなど糖分が多く含まれる飲料の飲み過ぎは控えた方がよいでしょう。水分は基本的に水かお茶から摂取することを心がけ、脱水症状に注意しながら糖分をうまくコントロールしましょう。
 また、定期的に健康診断を受けて、血糖値や尿糖の値をチェックすることも予備軍の内に見つけ糖尿病に至らないようにするためには有効な方法だと思います。