女性の個性や能力を十分に発揮できる社会の実現を目指した「女性活躍推進法」の施行から2年がたち、国による認定制度も広がりを見せています。そんな中、女性管理職の現状やキャリア形成の課題、ワーク・ライフ・バランスのポイントなどについて、(公財)21世紀職業財団関西事務所所長の佐野由美さんに聞きました。

「女性活躍推進法」が施行された社会的背景

 1986年に「男女雇用機会均等法」が施行され、90年代以降、少子化対策の観点から女性が働きやすい環境が整備されました。そして近年は国家の成長戦略、企業・組織の持続的発展に向けた経営戦略として、女性の活躍推進が位置付けられています。その理由は、①優秀な人材の確保②人材の完全活躍③人材の多様性を企業の力にする――の3点です。

日本では女性管理職比率が他の先進国と比べて極めて低い

 日本の女性が男女の性差なく活躍している指数は、世界経済フォーラム調べによると、日本は144か国中114位でした。女性の活躍推進には「仕事の継続」と「キャリアアップ」の二つが軸となります。しかしながら、「継続」のための制度は手厚くしても、「キャリアアップ」のための育成や成長、登用ができていないのが現状です。こうした状況を鑑(かんが)み、最近のトレンドは「出産で休業してもできるだけ早く職場復帰し、フルタイムで通常業務に従事してキャリアが寸断、停滞しないこと」に変わりつつあります。

女性社員のキャリア形成を阻むもの

 大きな要因は①ライフイベント(出産など)②モチベーション(昇進意欲など)が低い③業務経験や判断能力の不足――です。①は出産すると時短勤務など働き方が変わったり、上司の過剰な配慮で重要な仕事から補助的な仕事を割り当てられ、マミートラックに陥ったりすることです。②ではリーダーになるために必要な教育を受けていなかったり、ロールモデルになる先輩がいなかったりなどで、管理職に対する魅力を感じないということがあります。③のような状況になるのは、①②の流れです。女性社員のモチベーションを向上させ、管理職にふさわしい人材に育成、登用するには、上司の育成力が課題となります。

社員が育児・介護と仕事を両立させ、上司がキャリアアップを支援するためのマネジメントとは?

 まず、仕事と育児の両立支援は「男性も育児・介護などの家庭責任を担っていく」という質の転換が必要です。育児をしながらも普通に仕事ができる制度に転換すると同時に、男性も育児や介護を担うことへの職場の理解や、恒常的な長時間労働から時間当たりの生産性を重視する「働き方改革」が求められます。上司は性別役割分担意識を払拭し「人」のマネジメントを行う努力が必要です。上司向け研修への相談もどんどん増えています。

国の認定制度いろいろ

 厚生労働省や経済産業省では、女性の活躍推進に関する認定事業を進めています。その一部を紹介します。
 
大阪市などの各自治体でも、女性が活躍する企業を応援する認証制度や表彰制度があります。

 「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定を受けた証です。
 次世代育成支援対策推進法に基づき、一般事業主行動計画を策定した企業のうち、計画に定めた目標を達成し、一定の基準を満たした企業は、申請を行うことによって「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定を受けることができます。「くるみんマーク」は認定された企業の証です。
 さらに、くるみん認定を既に受け、相当程度両立支援の制度の導入や利用が進み、高い水準の取り組みを行っている企業を評価しつつ、継続的な取り組みを促進するための「プラチナくるみん」認定もあります。
 どちらも広告等に表示し、高い水準の取り組みを行っている企業であることがアピールできます。
 また、学生・求職者の、企業研究の指標の一つとしても活用することができます。

  • えるぼし

 女性活躍推進法では、行動計画を策定し、策定した旨の届出を行った事業主のうち、女性の活躍推進に関する取り組みの実施状況等が優良な事業主は、申請を行うことにより、「えるぼし認定企業」として、厚生労働大臣の認定を受けることができます。
 認定は、基準を満たす項目数に応じて3段階あり、認定を受けた事業主は、認定マーク「えるぼし」を商品や広告、求人票などに使用することができ、女性の活躍を推進している事業主であることをアピールすることができます。

  経済産業省は、東京証券取引所と共同で、2012年度より女性活躍推進に優れた上場企業を「なでしこ銘柄」として選定し、発表しています。
 なでしこ銘柄は、「女性活躍推進」に優れた上場企業を「中長期の企業価値向上」を重視する投資家にとって魅力ある銘柄として紹介することを通じて、企業への投資を促進し、各社の取り組みを加速化していくことを狙いとしています。

  • 新・ダイバーシティ経営企業

  経済産業省は、ダイバーシティ推進を経営成果に結びつけている企業の先進的な取り組みを広く紹介し、取り組む企業のすそ野拡大を目指し、「新・ダイバーシティ経営企業100選」として、経済産業大臣表彰を実施しています。
 平成29年度からは、経産省で取りまとめた「ダイバーシティ2.0行動ガイドライン」をもとに、より中長期的に企業価値を生み出し続ける取り組みとしてステップアップするべく、「ダイバーシティ2.0」に取り組む企業を「100選プライム」として、新たに選定します。

  • 輝く女性を応援する企業を紹介!
  • 大阪ガス株式会社

イキイキと働きがいのある仕事をするために
大阪ガス株式会社

  • 大阪ガス株式会社

 「仕事」と「育児」をバランスよく進めることができるように、両立支援制度を整えています。休業・休暇制度や在宅勤務制度など数々の制度は、男女問わず取得することが可能です。また、「出産」や「育児」による休業からスムーズな復職までを支援する「職場復帰プログラム」も用意しています。女性だけでなく男性も育児や家事に積極的に参加し、働き方の変化に対応することが、社員個々の成長につながると考えています。

http://www.osakagas.co.jp/

  • 近畿健康管理センター

「イクボス宣言」で管理職の意識改革を
 KKC近畿健康管理センター

  • KKC近畿健康管理センター

 当センターでは、平成28年8月に「イクボスセミナー」を開催し、役員、管理職が自身の働き方について考え「アクションプラン」を策定しました。部下の仕事と家庭の両立を支援し、自らも仕事と生活を楽しむ「イクボス宣言」を行うことで、管理職の意識改革につながり、男性の育児休業取得が促進されました。これからも、男女問わず、働き続けられる職場環境を整備するため、各種両立支援制度の拡充、働き方改革に取り組みます。

http://www.zai-kkc.or.jp/

  • スミセイ情報システム株式会社

女性だけでなくみんなが働きやすい会社へ
 スミセイ情報システム株式会社

  • スミセイ情報システム株式会社

 「女性が働きやすい会社は男性も働きやすい!!」という考えのもと、安心して長く活躍できる環境づくりを進めています。一人ひとりを支える様々な制度をライフイベントに応じて活用し、多くの女性が活躍中。あなたらしい働き方をみんなで応援します。また、限られた時間で最大のパフォーマンスを発揮できるよう、各々(おのおの)が積極的にスキル向上に取り組んでいます。これからも全社員が人生と仕事を楽しめる会社を目指し、社員と共に歩んでいきます。

http://www.slcs.co.jp/

  • 中西金属工業株式会社

安心して働くことができる会社をめざして
 中西金属工業株式会社

  • 中西金属工業株式会社

 2017年度の大卒新入社員は半数以上が女性。長期的なキャリア形成のための研修もスタートしました。オフィス・工場では社内保育園を運営し、自宅でも働ける仕組みとしてテレワークを導入。次世代の新しい働き方、仕事と育児の両立を応援しています。また、社員自ら「働き方」について考えるプロジェクトを推進。誰もが自分らしい働き方を実現できるよう、社内コミュニティーづくりや、育児サポートのためのガイドブック作成に取り組んでいます。

http://www.nkc-j.co.jp/