HOMEリレー活動オンライン東北ツアー 「震災、いのち、人のつながり〜被災地の今」気仙沼から

オンライン東北ツアー震災、いのち、人のつながり~被災地の今

(一社)まるオフィス、(一社)歓迎プロデュース
根岸えまさん
(29歳)

グレーな町とカラフルな人たち

 私は被災地をこの目で見てみたいと、気仙沼にボランティアにきました。そこは瓦礫(がれき)ばかりでグレーな町でした。けれど出会った人たちは家も仕事も無くなっているのに、とてもカラフルな人たちでした。知り合った漁師さんは、地元や漁師という仕事に責任感と使命感を持つ、カッコイイ大人で、そんな人たちと一緒に仕事がしたいと思いました。悩んだ末に気仙沼に移住し、もう6年になろうとしています。

 漁師の親方たちは、人を経歴や肩書きで判断せず、根岸えまとしてみてくれる。私は今、水産加工や漁業関係の仕事を切り盛りしている女性と一緒に、漁師さんのための食堂(鶴亀食堂)と銭湯(鶴亀の湯)を一緒に経営しています。2人とも、町に何が必要か、自分たちが町に対して何が出来るのかを考えていて、すごく影響を受けました。

学びたいという姿勢

 震災10年ということで、たくさんメディアの方に取材していただく機会があります。けれど、私は震災時に気仙沼にいたわけではないので、実際に震災を経験した人の気持ちを本当の意味で理解することはできません。私はまだ学生の時に気仙沼に来たので何もわからず、地元の人は何が必要としているのか、何をしてほしいのかを、まずは聞くことからはじめました。私たちを受け入れてくれたのは、地元の人に学びたいという姿勢が伝わったからじゃないかな。

 私の役割は、新しい風を入れたり、新しいことをはじめたりして、地元の人たちに引き継いでいくことだと思っています。

根岸えま
東京生まれ東京育ち。学生時代、復興支援ボランティアで気仙沼を訪れる。卒業後移住し、銭湯経営や漁業者と若い担い手とのマッチングなど漁師を支える仕事に従事している。

ジュニア記者からの質問

Q 移住して何が大変でしたか?また、良かったことはなんですか?

A 最初は言葉が分かりませんでした。何度も聞き返して、メモして、方言を覚えて話ができるようにしました。移住当時は、失礼なこともたくさんしたと思います。それを地元の人が怒ってくれたり、教えてくれたり。当時からありがたいなと思っていました。

Q 移住してから、町や自分自身、変わったことはなんですか?

A 私がボランティアで来た時には瓦礫ばかりでしたが、公営住宅や商業施設、防潮堤ができて町の風景は変わりました。地元の人も震災前にそこに何があったのかもう思い出せないと言います。
 私は、人として大切なことを地元の人にたくさん教えてもらい、自分を大きく見せることもなく、人として成長したなと思います。

Q 鶴亀食堂のプロジェクトはすごくいいと思いました。ほかに町や漁師さんに対して何かしようとしていることはありますか?

A 2020年4月から、全国各地から漁師の担い手を募集し、地元の漁師さんとマッチングを始めています。仕事だけではなく、家探しや暮らしのサポートもしています。

Q 都会では気づけなかった気仙沼での大切な学びを教えてください。

A 相手が何を考えているのか、どんなことをしたいのか、人として人と向き合い、人間を見るということを教えてもらいました。

Q 根岸さんが、人間関係を築く上で大切にしていることはなんですか?

A 年齢とかは関係なく、学びたいという好奇心と、相手から学ぶという姿勢が大切だと思います。

オンラインツアーを終えて~ジュニア記者の感想

いろんな方のお話を聞ける機会にたくさん参加したいと思います。

災害のことは風化させてはいけないと改めて思いました。素晴らしい人とたくさん関わっていきたい。

自分も、責任をもって発信し行動する世代だということを自覚して、自分ができる身近な行動をもっとしていきたいなと思いました。

人とつながることの大切さと難しさ、自分がこの先どうやって生きていけばいいのかを考えさせられました。

防災意識のある方に聞いたお話を活かして、自分も何かできることがあるんじゃないかと考えています。

このプロジェクトに参加することが自分の減災・防災意識につながっています。学んだことを学校の防災訓練でも伝えたいです。

ホームステイ先の海外の方にも、自分が学んだ日本の防災について話しました。

 2021年3月6日、気仙沼湾を横断する『気仙沼湾横断橋(愛称:かなえおおはし)』が開通。この開通によって、仙台〜宮古間の車での移動が約3時間(約2時間減)に大幅に短縮しました。

 気仙沼湾横断橋は橋長1,344mで、海上部は680m。幾本ものケーブルが美しい斜張橋は、海面から橋桁までの高さが約32m、橋脚部に避難階段を設置し、津波被害への対策も配慮されています。海上に面した橋の下部には、「貴船の安全航海を祈る」「貴船の帰港を歓迎する」という意味を持つ2つの国際信号旗の図がグラフィックシートで貼られ、気仙沼湾を渡る横断橋に相応しい装飾がなされています。

 令和3年度内にはさらに延伸し、最終的には宮城県仙台〜青森県八戸までを結ぶ、総長359㎞の自動車専用道路として、水産業水産加工業や観光の活性化に動脈として機能していきます。

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主催/読売新聞大阪本社
協賛/シーエープラント、新コスモス電機、創元社、大和リース、富士電工