HOMEリレー活動オンライン防災学校 熊本豪雨 被災地の最前線から 2時限目「クロスロードゲームを体験しよう〜その時、どっちを選ぶ?〜」

協力:神戸クロスロード研究会 濵尚美さん、西 修さん、田中綾子さん

クロスロードって、何? ーCROSS ROAD 十字路・交差点ー
 阪神・淡路大震災で災害対応にあたった神戸市職員へのインタビューをもとに作られた災害対応ゲーム。災害時の二者択一の設問について、自分の考えを<YES><NO>のカードで示し、その理由について意見交換する。多数派は青い座布団、一人だけの時は金座布団をゲットでき、その点数を競う。「クロスロード」は、重大な分かれ道、人生の岐路を意味する。
https://www.facebook.com/kobecrossroad/

 ジュニア記者はそれぞれ2つのチームに分かれ、クロスロードゲームに楽しく、かつ真剣に取り組みました。

設問1.あなたは、川沿いの住民

祖母(85歳)、父・母・自分・妹(5歳)の5人家族。激しい雨が降り続いている。今、洪水の危険があるとして避難勧告が発令されたことを知った。しかし、新型コロナウイルス流行中。避難所に行く?

▶YES:行く
▶NO:行かない

▶YES:行く ※以下、子ども記者から出た意見
まずはコロナウイルスより、川沿いという家の場所に着目。家から脱出し一時的にでも身の安全を確保。
熊本豪雨の教訓から2階まで川の水が来ることも考え、避難所に行った方が助かる可能性が高い。
避難所でもソーシャルディスタンスを取るなど対策はできる。
年齢が高いほど避難にも時間がかかるし、早めに避難。
コロナはしっかり対策をとれば防げると思う。洪水は自分の力だけでは流されてしまい防げるものではない。

▶NO:行かない
祖母が85歳で高齢なのでコロナウイルスにかかると重症化する可能性も。家の2階に避難。
激しい雨が降り続いているので避難中に流される可能性もある。そのままおさまるまで家にいた方がいい。


-MEMO-

◆まずは、自宅のハザードマップを確認してみましょう。
◆分散避難:避難所だけではなく安全な場所にある親戚や知人宅に避難すること。ライフラインもしっかりしているので普段のお付き合いの中でそうした場所を想定・確保しておくと良いでしょう。
◆避難所でのコロナ対策:対面で座らない、距離を置くなど感染症対策が必要。

設問2.あなたは、被災者

地震で自宅は半壊状態。家族そろって避難所へ。ただ、日ごろの備えが幸いして、非常用持ち出し袋には水も食料も3日分はある。一方、避難所には水も食料も持たない家族多数。その前で、非常用持ち出し袋をあける?

▶YES:あける
▶NO:あけない

▶YES:あける
他の家族に配ろうとしても多いので一つの家族ごとの割合がとても少なくなってしまう。私は開けて自分の家族だけに配る。
人にあまり見られないような端っこで開ける。まずは自分の命が一番大事。
このコロナの状況で人のものをもらうということを避けがちになってしまうと思う。
とりあえずは開けて使う。困っている人がいたらその人にも分けてあげる。
今開けて、自分たちよりももっとたいへんな状況の人たちに分けるのもいいんじゃないかと思う。

▶NO:あけない
非常用持ち出し袋を持ち出せずに逃げ出した人もいる中で、周りの人からの視線を感じる。避難所への食料補給も来ると思うので、それを待ってから食べた方が、これからの避難所での人間関係もうまくいく。


-MEMO-

◆非常用持ち出し袋の中身や置き場所を今一度確認してみましょう。
◆これからの非常用持ち出し袋にはコロナなど感染症の対策に、マスク、アルコール消毒液、体温計なども備えておくようにしましょう。

設問3.あなたは、受験生

避難所では人手が足りず、仕事を手伝う毎日。若くて体力があると、とても感謝されている。しかし、勉強は手につかず、このままでは合格できないかもしれない。避難所の手伝いをやめて、勉強に専念する?

▶YES:勉強に専念
▶NO:手伝いを続ける

▶YES:勉強に専念
自分が勉強していいところに行くというのも育ててくれた親への恩返し。手伝いにも種類があるので、勉強しながらできる小さな事でもできればいい。
さすがに受験生ということもあって受験勉強を諦めてでも手伝えっていう人はそんなにいないんじゃないかと思う。受験生の期間は有限なので、受験に専念して終わったら手伝えばいい。
受験のために勉強してきたので受験を諦めたら今までの努力が無駄になってしまうのでやっぱり受験第一。まずは勉強をやってから手伝いをした方が自分にとっても効率がいい。

▶NO:手伝いを続ける
手伝って環境を整えてから勉強に打ち込んだ方が勉強しやすいかなと思う。仕事を手伝って感謝されるし、手伝いの方に気がいって勉強に集中できないかも知れない。
昼間は子どもが遊んでうるさいので、勉強室を作ってもらうためにも手伝いをしてそれができるまでは、夜の寝静まった時に勉強をやればいい。
災害が起こってそれどころじゃない、困っている人がいるほうが深刻。
勉強よりももっと大切なこともあるし人生の経験にもなると思う。
その時は勉強ができなくても、長い目で見た時に自分の財産になるかなと思う。
避難所っていう自分と同じ立場の人が集まる場所にいる以上、協力や助け合いは必要。
自分の受験は来年でも再来年でもできる。助け合うことは今その時にしかできない。自分の受験勉強をするよりも人を助ける方がいい。


-MEMO-

◆災害が起きると、冷静な判断ができなくなります。避難所でもいろんな意見が出てきます。多数の意見に従わなければならない状況は必ずありますが、多数を占める意見が必ずしも、正しいわけではありません。絶対的に正しい答えがないクロスロードゲームを通じて、考える力や人の意見に耳を傾けることができました。他の人にはない柔軟な発想が、みんなの命を救うかも知れません。

ジュニア記者の声<後編>

「With コロナ」 井上輝星さん
 今年は特別な一年。With コロナ。コロナウイルスと自然災害。被災地でも支援にあたる方が自分の体調に気をつけることが大切と言っていた。感染しない、させないためだ。ボランティアも県外から、入れない現状で被災地では刻一刻とニーズが変化していく。災害直後は命が助かった事の安堵、その後は支援のニーズは変化していく。現場の声をしっかり聞かなければ被災地の負担になり逆効果となる。クロスロードゲーム体験により様々な考え方の人がいる。他者との差異を受け入れ、今の自分に何が出来るのかを常に問いながら、冷静に判断し、例年と違う、With コロナの今、行動したいと強く感じた。

「オンライン防災学校を終えて」 徳田翔天さん
 ぼくは初めて被災した方とお話しする機会を頂いて、現状やコロナにより忘れられてしまっていることを聞いて、自分が考えていたよりもずっと厳しい状態だと知り、そのために少ない人数で色んな工夫をして頑張っていることを聞きました。
 次のクロスロードゲームでは、そんな状態になった時にみんなはどうするのかということを、年上、年下の方と話し合い、今村さんがおっしゃっていたナナメの関係の大切さがよくわかりました。次に機会があればまた参加したいと思っています。

「災害についての知識を」 花山桜子さん
 今回の企画の中で、最前線で活動されている方のお話を聞き、今まで知り得なかった現地の状況や、有効的な支援方法についても知ることができました。またクロスロードゲームでは、咄嗟の判断を行う為の訓練を行うことができ、改めて災害についての知識の必要性を痛感しました。新型ウイルスという問題によってより過酷になっている今、新たに感染防止を視野に入れ、起こりうる災害に備える為にも防災意識の向上を目指し、災害の被害を少しでも抑える事が、未来へ紡ぐという目標の第一歩だと思いました。

「忘れない防災」 辻森誠也さん
 私は、今回のプログラムを通じて、「記憶の継承」の大切さを改めて学びました。災害の記憶は悲痛にも月日が経つにつれ忘れられますが、被災者には生涯背負っていく辛い過去であり、その過去を知るだけではなく、これからの防災に活かすために自ら考え動く、能動的な防災対策が先人の教訓を活かし、災害時にも適切な行動がとれると思います。一見難しく思えますが、震災からの学びを基にした「クロスロードゲーム」など簡単に、身近に防災対策や記憶の継承を行えます。これからの日本に生きる僕たちこそすべき防災だ。

「未来へ紡ぐリレープロジェクト」に参加して 藤田海斗さん
 今回この「未来へ紡ぐリレープロジェクト」に初めて参加させていただきました。
今村さん、井下さんのお話では実際の被災地の状況を知り、その大変さと避難所でのコロナとの関わり方を教えていただきました。「クロスロードゲームでは、いろんな人の意見を聞く中で「自分の災害対応は正しいのか?」と思うこともあり、新しい考え方を持つことができました。
 今回の体験でたくさんのことを学ばせていただいたので、これを実際の災害対応に生かせるようにしたいと思います。

※原文で掲載しています


主催/読売新聞大阪本社
協賛/新コスモス電機、創元社、ナカニシヤ出版、富士電工
協力/認定NPO法人カタリバ、神戸クロスロード協会