新聞紙3枚で作る「新聞足袋」と辻さん。簡単に作ることができて、意外と丈夫で温かい。作り方の動画はYouTubeにアップしているのでご確認を。動画はこちら。
震災や台風、水害など、毎年のように起こる自然災害。いつ自分の身に降りかかるかわかりません。その時がきたら、誰かに助けてもらえると思わず、自分で自分の身を守る方法を考えましょう。レスキューナースの辻直美さんに、生きのびるための心構えをお聞きしました。今、この瞬間から、さあチェック!!
今すぐできる防災対策
“防災”というと何から手をつければいいか分からない、という人も多いようです。まずはこの3点を確認してみましょう。
❶自宅のリビング・寝室を見回して、地震が起きたらどのように家具や荷物が倒れてくるか想像してみましょう。物が倒れたり移動してきたりしない、散乱しないスペースがありますか?なければ作る必要がありますよ。
❷食料の備蓄を目で確認。パスタやラーメン、レトルトや缶詰など、保存の利くものを多めに準備。非常時はおなかいっぱい食べられません。普段の3分の1の量を目安にして、1人10日分を用意しましょう。
❸家族やお隣さんにあいさつをしましょう。そしてご近所も。自分がいることをアピールし、災害時に「○○さんは?」と思い出してもらうことが助かることにつながります。
今後のための防災心得
防災グッズをそろえるだけで安心していませんか?実際に使って体験して初めて防災です。いざという時に「想定外」では困ります。でも、むずかしく考える必要はありません。家族で防災リュックを背負って、避難所までゆっくり歩いてみましょう。あわてる必要はありません。
マンホールはどこにある?道路の横に大きな溝はない?人は少し意識するだけで危険ポイントが見えてくるものです。それが防災の第一歩です。自分が楽しいと思う方法で、日常に「防災」を組み込むことをおすすめしています。例えば「第3土曜日の夜は電気を使わずに過ごしてみる」「台所を使わずに、卓上コンロ一つで夕飯を作ってみる」などゲーム感覚で楽しく。失敗したって構いません。月1回、テーマを決めてやってみてください。これであなたも防災の一歩を踏み出せましたよ!
辻 直美(つじ・なおみ)
国際災害レスキューナース。一般社団法人 育母塾代表理事。看護師として活動中に阪神大震災を経験。看護師歴28年、レスキューナースとして25年活躍し、被災地派遣は国内19件、海外2件。現在、大阪市防災・危機管理対策会議で防災専門家として活動。大阪市福島区中学生被災地訪問事業選定委員も務めている。レスキューナースと並行し、「まぁるい抱っこ®」を提唱。母親世代から絶大な支持を得る。
『レスキューナースが教える プチプラ防災』(扶桑社)¥1,200(税別)
2019年8月19、20日に宮城県石巻市、女川町を訪問した兵庫県立舞子高等学校環境防災科3年生(当時)の4人は、春からそれぞれの道を進む。被災地で学んだことを改めて振り返り、新しい環境で自分にできることを探す4人に話を聞いた。
「明日が当たり前に来ると思わない」ことを学んだと話す石井比奈さん。日頃の備えが命を救うことを繰り返し家族に話し、少しずつ家族の中に防災意識が芽生えてきたという。橋本来夏さんは、今地震が起きたら、津波が来たら、自分が先頭に立って「逃げよう」と言えるように、常に準備をしているそうだ。東北訪問後、さまざまなボランティアに参加した久米崚平さんは、ボランティアでできたつながりを通じて、これからも現地に足を運び続けるつもりだと話す。藤原祐弥さんは、阪神大震災や東日本大震災で被災した人たちの声をもっと聞く機会をつくり、後輩たちとの橋渡し役をしていきたいと考えている。
様々な形で被災地に心を寄せ、忘れることなく、これからにつなげていきたいと誓う4人。その姿は頼もしく、輝いている。
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