• 顧客と誠実に向き合い役立つ
  • vol.9 ジップチェーンリフタ

 1分間に1台の車を生産する、国内大手自動車メーカーの工場。ボディーやエンジンなど重量のあるパーツを正確に、高速で運ぶラインを支えるのが、ジップチェーンリフタだ。2本のチェーンをかみ合わせて1本の柱状にするジップチェーンを使ってモノを押し上げる仕組みで、高い耐久性と精度を誇る。なかでも、6.5メートルまで伸びて高速昇降するリフタは、「2~3メートルが限界」と考えられていたジップチェーンの当時の常識を超えるものだった。数年前、その開発への挑戦の扉を開いたのは、営業部の千葉誠だった。

 「無理だ。お断りして」。顧客からの要望を伝えると、設計部門には最初、はねつけられた。だが、千葉は諦めない。「6.5メートルあれば、顧客工場の生産効率は格段に上がる。ジップチェーンリフタの販路も広がるはずだ」

 千葉が所属するモジュール営業部は、既存の製品を組み合わせ、顧客にとって最適な「機能」を提案するのが仕事だ。顧客との会話、現場の観察から需要を掘り起こし、新製品にもつながる性能向上、新規開発を技術陣に求めることもある。“6.5メートル案件”も、産業用チェーンで世界シェアトップの技術力があればできると確信していた。なぜこの高さを顧客が求めているかを丁寧に説明し続け、2か月後、開発がスタートした。

  • vol.9 ジップチェーンリフタ

 完成までの3年間には、顧客の期待に応えたいあまり楽観的な見通しを伝え、技術陣に不眠不休の作業を強いる失敗もした。発言に責任が伴うことを痛感し、以後、「誠実でタフなチャレンジャーであれ」が千葉の営業ポリシーになった。困難を乗り越えて完成した機体を見て、「とんでもないものを作ったな」と顧客は笑顔を見せた。

 この実績を手に、千葉は今、海外自動車メーカーにも営業の場を広げる。ロボット向け製品開発の新規プロジェクトにも身を置く。「人の役に立つ機能を世界中に届けたい」。TSUBAKIの誇りを胸に、挑戦は続く。

千葉 誠(モジュール営業部)

 理系の多い「モノづくり」企業の当社内で、私の役割は、今ある商品を売ることだけではなく、お客様の要求を聞いたうえでスペックをまとめ、カタチにしていくこと。ここは文系の強み、コミュニケーション力を生かせる部分だと思っています。今までできなかったことをTSUBAKI商品で実現し、お客様に喜んでいただくのがやりがい。大きなプロジェクトでは、お客様との関係も深くなり、共に苦労を分かち合った戦友のような存在になる場合も……。今後、海外市場をはじめ、新規分野にもどんどんアプローチしていきたいです。

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今回紹介したつばき商品ジップチェーンリフタ®

自動車工場から音楽ライブまで
広がる活躍シーン

 「押し・引き」ができるジップチェーンの特性を生かした、世界初のTSUBAKI独自の高速リフタ。上昇時にはジップチェーンが直接昇降台を押し上げ、下降時には、かみ合ったチェーンを解いてケースにコンパクトに収納する。一般的な油圧式リフタに比べ、最大で10倍の高速昇降と高頻度運転、省スペースが特長。付帯設備の必要がなく、自動化が進む自動車工場をはじめ、物流などさまざまな現場で重宝されている。ラインを止めることが許されない自動車工場で磨き抜かれた高い精度は、安全性が厳しく要求される「人を乗せる」ことも実現。音楽ライブやイベント会場では、今や舞台演出に欠かせない存在となっている。>>詳しい商品情報はこちら

2020年11月10日 読売新聞朝刊 掲載

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