• 専門のクラッチ開発で、次世代車の可能性を拓く。
  • vol.8 クラッチ開発

 電動自動車向けの新商品・新機構の開発。自動車エンジン用タイミングチェーンシステムで圧倒的シェアを持つTSUBAKIが、満を持して挑むプロジェクトに呼ばれ、嶌中祐仁は奮い立った。二輪車向けクラッチの技術者として、数々の特許を持つ。「誰かのまねはしたくない」。子どものような好奇心と探求心で、次々と新機構を生み出してきた。大手との競合に勝ち、ゼロだった二輪車向けシェアを一気に30%に押し上げた実績もある。新しい挑戦に、自分の技術が求められることがうれしかった。

 一方で、100年続く技術の蓄積も、TSUBAKIの強みのひとつ。今回のプロジェクトは、クルマの電動化をターゲットに、チェーンと歯車、クラッチを組み合わせた動力伝達機構の開発だ。嶌中ら各商品の技術者が知見を結集し、新開発商品として世に出すこととなった。

 大小2つの歯車をつないで、小さな動力を大きな力に変える新型チェーン。歯車との組み合わせで伝える力をオンオフできる独自機構の薄型クラッチ。「複雑な電気制御をしなくても、機械部品の組み合わせでクルマを動かせる」。「メカ屋」の発想と技術力を注いだ機構に、自動車メーカーのエンジニアからは「シンプルで面白い」と評価を得た。安全、高品質が絶対条件のクルマの部品として、今は耐久性向上とコストダウンが課題だ。

 「今作っている商品で、ガソリンの消費量を減らすことができれば、少しは世の中の役に立てるかな」と笑顔で話す嶌中。「いつか、空飛ぶクルマを作りたい」。将来の夢が現実の挑戦になる日も遠くないかもしれない。新時代への挑戦は限りなく広がる。

嶌中 祐仁(開発・技術センター 車載新商品開発室)

 新製品のアイデアは、風呂に入っている時にふと浮かぶことが多いです。常に何か新しいモノを作れないかと考えているので、夢に出てくることも…。ずっと作りたいと思っているのは、空飛ぶクルマ。ドローンのようにプロペラ制御で飛ぶのではなく、風に乗って飛ぶような、風と一体化したクルマ。世の中に今ないモノを作っていきたいです。

  • vol.8 クラッチ開発

2019年11月26日 読売新聞夕刊 掲載

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