「会議室でも設置できる、小さなリニソートの設計図を書いてみろ」。上司の言葉に、藤田怜士は耳を疑った。リニソートは、マテハン事業部が誇るリニアモーター駆動の自動仕分け機。通販などの物流センター向けに高速化、大型化を他社と競う中、発想の転換を迫る要求だった。

 リニソートは、バーコードを読み取った商品を載せたトレイが、ループ状のレールを走行し、所定のシュート(仕分け間口)でトレイを傾け、配送先別に商品を仕分ける仕組み。作業者の習熟度に関係なく、正確に速く仕分けができる。小型化のきっかけは、「25㎡の狭い部屋での仕分け作業を自動化できないか」という顧客からの相談だった。「人手不足に伴う自動化、効率化のニーズはこんなところにもあったのか」。開発は急ピッチで進められることになった。

 トレイの旋回半径を8分の1まで小型化した試作機が完成。しかし、実験では遠心力によりカーブで商品が落下、速度を落とせば仕分け能力が低下してしまう。「小型化」と「顧客が求める能力」の両立は至難の業だった。諦めずに実験、再設計を繰り返す藤田を上司や仲間が支え、ついに半年後、業界初の二段構造「リニソートS-C」が完成。通常1年以上かかる新商品開発の常識を覆す快挙だった。

 「頭の中で描いたものが形になり、動いて、お客様の役に立つ。それが設計技術者の醍醐味」。S-Cの販売好調を喜びつつ、藤田は一層の改善に余念がない。通販市場が急拡大している中国へ必ず乗り込んでみせる。夢ではなく、目標だ。

藤田 怜士(マテハン事業部 システム技術部)

 設計者と言えば、寡黙なイメージがありますが、TSUBAKIの設計担当はみんな明るい。私もよくしゃべるので、職制に関係なく自由に技術の話ができる時間が楽しいですね。クルマが好きで、アマチュアのレーシングチームに所属。休日は自分で整備した愛車を駆り、タイムを競うモータースポーツ「ジムカーナ」を楽しんでいます。

2019年11月12日 読売新聞夕刊 掲載

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