自動車エンジンの環境性能向上に大きな役割を担う、TSUBAKIのタイミングチェーンドライブシステム。エンジンの高性能化、軽量化、低騒音化への貢献が評価され、世界トップシェアを誇る。埼玉をマザー工場に、世界8か国12工場での「同一品質」を支えるのは、スピーディーな技術対応力と独自の生産設備だ。その検査装置の開発を担当する柳澤美津季は、米国、中国、タイ、韓国で装置の移設と技術指導に携わってきた。
柳澤が開発・導入した検査装置は、現在、国内外の全拠点で稼働している。だが、ここまでの道のりは決して平坦ではなかった。最長4週間の長期海外出張では、気質の違う現地スタッフとのコミュニケーションに悩んだり、日本からの移送中に破損した設備の復旧作業に冷や汗をかいたり。海外の現場にいるのは自分一人だけという状況は、緊張の連続だったが、柳澤にとって貴重な成長の機会となった。
事務職で入った会社で、気づけば世界を相手に技術者として仕事をしている。チャンスが平等に与えられる環境で、挑み、責任を果たしてきた。出産を経てなお活躍し続け、海外研修生を指導し、グローバル会議にも参加する柳澤を、海外スタッフは今も真っ先に頼る。「TSUBAKIの品質・信頼を守る最後の砦」。自分の仕事を、そう思い定める。
技術革新の速さを肌で感じる部署で、今はAIやIoT対応の生産ライン開発にも取り組んでいる。次世代のクルマにも、TSUBAKIの技術が貢献できることを信じて。