株式会社椿本チエイン「101年目の挑戦―世界を、未来を、動かせ。」

  • vol.2 最新医療研究の裾野を広げ、より良い未来へ。
  • vol.2 全自動保管庫「ラボストッカ」

 世界で初めて、マイナス150度という超低温下で細胞や血液、DNAなどの生体試料を保存し、自動で高速ピッキングを行う全自動保管庫「ラボストッカ」。外気に触れるとたちまち劣化する試料を長期間安定して保存し、必要な時に数万本の中から1本単位で正確に取り出す高度な技術は、がん治療や創薬の研究に飛躍的進歩をもたらすと期待されている。だが、開発担当の江本尚浩は、まだ満足していない。

 営業担当と間違われるほど、江本は精力的に大学や製薬会社の研究室を訪問する。医療研究の最前線では何が求められているのか、どんな悩みがあるのか。ユーザーのニーズを的確につかみ、より早い製品開発へと生かすためだ。一度、扉を重くして気密性を高めた製品を提案したところ、使いにくいと却下されたことがある。機能を高めるのは技術者として当然だが、使う側への配慮も必要なのだと思い知らされた。以後、より丁寧な聞き取りを心掛け、それらは今、個々の研究環境に合わせた製品のカスタマイズに生かされている。

 「モノを動かすための様々なパーツを手掛ける会社なら、将来、母のように足の悪い人たちを助ける義足を作れるのではないか」。それが江本の入社動機だった。今の仕事は思い描いていた形とは違うが、難病や最先端のゲノム医療、創薬に立ち向かう研究者を、確かに支えている。その実感が、開発のモチベーションだ。これから取り組むのは、汎用性の高い標準機作り。この挑戦がiPS細胞など最新医療研究の裾野を広げ、より良い未来へつながると、信じている。

  • vol.2 全自動保管庫「ラボストッカ」

2019年02月25日 読売新聞夕刊 掲載

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