• 機器に命を吹き込みライフサイエンスを支える
  • vol.10全自動保管庫「ラボストッカ」

 治療や新薬の研究に欠かせない生体試料や化合物を、マイナス150度という超低温下で長期保管する全自動保管庫「ラボストッカ150」。検体を劣化から守るだけでなく、検体チューブを格納した内部ではロボットアームが正確かつ高速で動き、数万本の中から必要なチューブ1本をピッキングする。高度医療研究に貢献できる機能を設計し、実装するのが相田の率いるチームだ。

 電子工学科の同級生の多くが電機メーカーなどに就職する中、相田は機械メーカーの椿本チエインを選んだ。「優れた機械や装置も、それだけでは動かない。制御設計で機器に命を吹き込みたい」

 デジタル化が進む今、機器の動きをコントロールする制御設計の重要性は高まる一方だ。相田の業務も、システムの検討、プログラム設計、試運転調整と多岐にわたる。納品先ごとに仕様も異なる。設計段階で予想できなかったプログラムの不具合が試運転で見つかり、修正に追われたこともある。大変な仕事だからこそ、機器が正常に動いた時の達成感は格別だ。

  • vol.10全自動保管庫「ラボストッカ」

 リーダーとして全体を見るようになって、「オールTSUBAKI」の強固な一体感を実感している。他部署との連携の取りやすさ、若手が臆さず意見やアイデアを出せる風通しの良さ。自らも若い頃、仲間と考えた業務改善のアイデアが採用され、自信につながった。だから自分も、若手の新たな視点、意見を尊重する。この社風こそが、TSUBAKIの進化の原動力だと確信している。

 ラボストッカのシリーズ拡大とあわせ、相田のチームは今、そのノウハウを新型コロナウイルス対策にも生かそうとしている。PCR検査工程を自動化する挑戦だ。ラボストッカで磨いた技術で、検査に従事する人の安全も守りたい――。今よりも安心に暮らせる未来へ、TSUBAKIの技術が、社会を動かす。

相田 兼都(マテハン事業部 制御技術部)

 技術や知識以上に、技術者として大事なのは「新しい何かを作りたい、開発したい」という気持ちの部分だと思っています。TSUBAKIは挑戦する人を応援し、一緒にモノを作り上げていくことが気持ちよくできる会社です。若手にも意見を聞かれることが多く、勉強を続けることも必要。それがプレッシャーでもあり、やりがいでもありますね。
 「機器に命を吹き込む」瞬間を体感できるのも、制御担当の醍醐味。“世界初”となるようなことをしてみたいという元気な人と一緒に、これからも挑戦を続けていきたいですね。

  • vol.10全自動保管庫「ラボストッカ」
  • vol.10全自動保管庫「ラボストッカ」

今回紹介したつばき商品ラボストッカ®

DNAや創薬研究に貢献
新型コロナのPCR検査にも

 生体試料を外気にさらすことなく保管するための冷凍保管庫。庫内温度を細胞等の長期保管に適しているとされるマイナス150度にまで下げたのは世界初で、東京大学や大手製薬企業をはじめとした研究機関でのがん治療、創薬の取り組みに大きく貢献している。検体は、底面に2次元コードを印字できる独自開発のチューブに入れて庫内のラックに収納。タッチパネルを操作することで、ロボットアームが正確かつ高速に、大量のチューブの中から1本単位で必要なチューブをピッキングする。1号機開発からおよそ20年、安全と使いやすさを追求して磨きあげたノウハウは、感染症対策分野でも生かせると期待が高まっている。>>詳しい商品情報はこちら

2020年12月8日 読売新聞朝刊 掲載

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