「和」のこころを語るリレー塾
―宮城会場―
(2013年3月1日:読売新聞朝刊宮城県地域面記事より)
被災経験 語り継いで
「和の心」震災踏まえ対談
震災から2年になるのを前に、被災3県を巡る「『和』のこころを語るリレー塾―被災地からの発信―」(法隆寺、読売新聞社主催、石巻市、市文化スポーツ振興公社共催)が2月28日、石巻市の石巻中央公民館で開かれた。法隆寺の大野玄妙管長と女優の紺野美沙子さんが、同寺を建立した聖徳太子が説いた和の心について震災を踏まえて対談し、約150人の市民が聴き入った。
大野管長は、「和」について、助け合い、相手を思いやる日本人の性格や特質そのものを指していると語り、「外国の様々な文化を取り入れる寛大な心も生んだ」と述べた。
大野管長はこの日、海に向かって祈りを捧げたといい、「被災者の皆さんは(仏教の修行者である)菩薩(ぼさつ)。皆さんの経験を、直接震災を知らない人にぜひ話してほしい」と被災者を励ました。
国連開発計画(UNDP)の親善大使として国際協力に活躍する紺野さんは、「発展途上国では、真っ先に立ち上がるのが家族に食べさせようと働く女性」と紹介し、「子どもたちが安心して過ごせるよう、大人には笑顔で大丈夫だよ、と接してほしい」と震災を機に和の心を持つ大切さを呼びかけた。
参加者の同市新館、阿部美和子さん(65)は「震災後、来てくれた多くのボランティアも菩薩なんだと感じた。受けた恩をいつか返したい」と話していた。