kumo_56_gold_bottom_l「和」のこころを語るリレー塾 kumo_56_gold_bottom_r
―福島会場―

(2013年2月28日:読売新聞朝刊福島県地域面記事より)

復興に「和の心」持って
管長と紺野さん対談
 郡山市のミューカルがくと館で2月27日開かれた「『和』のこころを語るリレー塾―被災地からの発信―」(法隆寺、読売新聞社主催。郡山市、同市教育委員会共催)では、法隆寺の大野玄妙管長と女優の紺野美沙子さんが、同寺を建立した聖徳太子が説いた和の心について語り、約200人が聴講した。
 対談で、大野管長は、思いやりのある日本人の精神性が、数ある漢字の中から「和」の文字となり、受け継がれていると指摘。善でありたい心を持ち続けることが大切とした。震災復興では、新潟県中越地震で被災した山古志地域のお年寄りが「多くの仲間が訪ねてきて、無かったものを得た気がする」と話した事などを紹介。「震災を絶対に忘れない気持ちで、話し続けてほしい」と強調した。
 母方の祖父が須賀川市出身という紺野さんは、大熊町から会津若松市に避難した小学生の一人が、震災から家に帰った時の母親の「おかえりなさい」の言葉が一番印象に残ったと話したことを紹介。「親しい仲だからこそ、声を掛け合い、あいさつをしあう事が大切」と話し、復興について「自分は朗読活動をしているが、特別なことでなくても、長く寄り添う支援が重要」と話した。
 対談に先立ち、紺野さんが、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」「薤露青(かいろせい)」、新美南吉の「でんでんむしのかなしみ」を朗読。宮沢は、聖徳太子が重視した法華経を学んでいたといい、「雨ニモマケズ」などは「一人は全体のために、全体は一人のために」という大乗仏教の精神が貫かれていると解説された。
 参加した須賀川市千日堂の主婦、稲田スミさん(74)は「震災から2年を迎え、被災地が忘れられつつあると感じていた。県外に現状を訴え、風化を食い止めることが大切だとわかった」と話していた。