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 高齢化が加速する中で、介護が必要となる人はさらに増加することが予想されます。11月11日は「介護の日」。家族みんなで介護を身近なものとしてとらえ、介護される人も、支える人も「自分らしくいきいきと生きる」ことについて考える良い機会です。サポートする家族や友人、地域の人たちがともに励まし助け合い、前向きに生きていくには何ができるのか――。公益社団法人「認知症の人と家族の会」本部事務局長の阿部佳世さんに聞きました。

〝ひとりで抱え込まない〟

 「自分ひとりで頑張らなくては……」と考えないことが肝心。ひとりで抱え込まず、相談できる窓口にアドバイスを求めてください。かかりつけ医や行政はもちろん、つどいや電話相談で悩んでいる人たちと共に考え、支え合える私たちのような組織もあります。

 ひと昔前は同居するお嫁さんが多かったのですが、近年は実子が介護するケースが増えています。家族を残して実家に住み込んで介護をしたり、家族全員で近隣に引っ越したりするなど、在宅介護は家族への負担が大きいのが現実。もし親の介護が必要となった場合、どのような形で誰が行うのかについて、今日を機会に親を含めた家族みんなで考えたいものですね。

(あべ・かよ 大阪芸術大学を卒業後、オーボエ奏者に。2007年から四條畷市市議会議員を務めた後、介護現場で1年間ヘルパーとして働く。この間に義母を自宅で介護。14年に「家族の会」の本部事務局長となり、15年からは理事を兼務。認知症への理解と「家族の会」と出会うことの大切さを広めるために活動中。)

要介護の様々な要因 認知症との向き合い

 要介護になる要因は、脳卒中や心筋梗塞などの血管障害、骨折・転倒、そして認知症。認知症の発症は可能性や時期を予測できませんが、社会とのつながりがなくなると、症状が進行しやすいといわれています。もし、認知症になっても、〝何もできない〟ではなく、〝できることを見つけることが大切。人は何歳になっても自分が社会から必要とされていることに生きがいを感じます。生きる気力が湧き、外に目が向くようになると、介護する人も肉体的・精神的に楽になり、好循環が生まれるのです。

 例えば、スーパーのレジや駅などの切符売り場に、後ろで待っている人を気にせず自分のペースで支払いができる「スローレーン」が設置されているとありがたいですね。介護をする人の手を借りずにひとりで外出して行動範囲が広くなると、本人だけでなく介護者も〝できることが増えると思います。

介護現場の問題 解決に向けて

 しかし、介護保険制度が重症化(要介護3以上)しないと使えないような制度に後退しつつあるという問題があります。「軽度者」とされる要支援1や2の人の訪問介護やデイサービスは介護保険を使いにくくなったため、介護者である家族は休息したり、自分のために使う時間を確保したりすることが難しいのが現状です。地域で見守り、支えるにも限界があると思います。必要とされる生活援助については専門職であるヘルパーなどの介入が必要です。プロの目で生活環境を整えることは、介護される本人の意欲の向上につながり、QOL(生活の質)の向上や病気の進行の抑制に大きく影響します。重症化を防ぐには軽度のうちの専門家によるケアが不可欠です。重症化させないことは医療費削減にもつながり、介護者の負担も軽減します。

介護する人・される人 互いの存在を大切に

 介護は先が見えません。不安や閉塞感から精神的なバランスを崩す人が少なくありません。将来、自分が介護者になったときに備えて情報を収集し、相談先を確保しておく。その上で、もしもその日が来たときはたくさんの人の手を借りてください。介護する人もされる人もやりたいことをあきらめず、互いの存在を大切にしながら自分らしく生きることができるような社会が実現することを願っています。

 Information 

学生たちも考えている!
inochi学生フォーラム2017「認知症の社会課題に取り組む」

 inochi学生フォーラムは、現代の若者たちが実際のヘルスケア問題を解決しようとするアイデアコンテスト。関西を中心に全国から選抜された中高生・高専生や大学生ら44チームが4か月間プロジェクトを競い合い、そのうち26チームが11月3日、最終選考会でプレゼンテーションした。

 その内容は実に多岐にわたる。認知症の予防や症状・関連疾患、服薬管理、人と人とのコミュニケーションや社会参加、住・生活環境や災害時の対応、介護をする側の目線で考えられたものなど、イマドキの若者たちの問題意識の高さや斬新なアイデアの数々に驚かされた。

 最終選考会で選ばれた6チームは、11月23日(木・祝)、約500人の聴衆を前にその成果を発表する。新梅田シティ 梅田スカイビル ステラホールで、12:00~19:00(11:00開場予定)。詳しくは「inochi学生・未来フォーラム2017」ホームページhttp://www.inochi-gakusei.com/2017まで。

よ み う りオレンジアクション・キャンペーン 実施中

 本キャンペーンは、認知症の人も含めた誰もが「自分らしく、ともに生きる」社会づくりを目指す取り組みです。認知症支援のシンボルカラーであるオレンジ色をモチーフに、一人ひとりができることを行い、共感できる仲間を増やすことを目指します。

詳しくは「よみうりオレンジアクション・キャンペーン」ホームページまで
https://www.yomiuri-osaka.com/orange/

「マイ・オレンジ宣言」募集中!→投稿はこちらから