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 9月21日は「世界アルツハイマーデー」です。日本では2025年に65歳以上の5人に1人が認知症になるといわれています。そこで、読売新聞は認知症を通してこれからの高齢社会を考える「よみうりオレンジアクション・キャンペーン」をスタートします。
 認知症になっても安心して暮らせる社会であるためには何が大切なのでしょうか。「公益社団法人 認知症の人と家族の会」本部事務局長の阿部佳世さんにお話を聞きました。


――社会の高齢化に伴い認知症が人ごとではなくなってきました
 認知症は完治させる薬がなく、症状や進行が人によって違い、先のことが分からないため、本人も家族も不安や悩みを抱えています。
 私たち「認知症の人と家族の会」は1980年、認知症の家族の介護に苦しむ人たちがはげまし合い助け合う団体として京都で設立されました。活動の柱は「つどい・会報・電話相談」の三つ。困っている人たちが思いを共有し、アドバイスを受けられるつどいを全国で年間4000回以上開催し、毎月発行する会報でも医療や介護の情報を発信しています。電話相談は年間約2万件。現在は47都道府県全てに支部があり、認知症の本人、家族、医療・介護・行政などの支援者とともに、認知症になっても安心して暮らせる社会の実現を目指しています。

――あすの「世界アルツハイマーデー」に何かイベントは?
 京都タワー、大阪城、姫路城など全国19か所をシンボルカラーのオレンジ色にライトアップします。SNSを利用した発信にも力を入れており、オレンジ色の物を写真に撮ってツイッターに投稿してもらうキャンペーンを実施中です。街中でパフォーマンスを披露するフラッシュモブも行いました。若い世代にも認知症を知ってもらおうとしています。

――今後の取り組みは?
 2017年4月26日から29日まで、「第32回国際アルツハイマー病協会国際会議」を京都で開催します。世界100か国、4000人が参加予定で、「認知症:ともに新しい時代へ」と題し、医学・災害・若年性認知症などをテーマに世界規模で考えます。認知症の方にもお話ししていただき、新しい未来を切り開くきっかけになることを期待しています。

――10年後には高齢者の5人に1人が認知症になるといわれていますが……
 高齢化が進む中、認知症を理解し、地域ぐるみで支える必要があります。例えば徘徊(はいかい)の問題。地域の人が普段から見守り、立ち寄り先になりやすい交通機関やコンビニエンスストアなどで働く人が認知症に対する知識を持っていれば、早い段階で保護することも可能です。養成講座を受けて登録できる「認知症サポーター」として理解を深める人が増えるといいですね。
 まだ身近な存在ではなくても、将来、自分や家族、大切な人が認知症になる可能性もあります。知っておいてほしいのは「認知症になっても心は生きている」ということ。人格まで失われてしまうわけではないので、本人も介護する家族も、ともに自分らしさを大切に向き合ってください。