トップ > 「新聞のちから」研修の特集記事が新聞に掲載されました
新聞を教材に、「読む、書く、話す」力の向上を目指す読売新聞大阪本社「新聞のちから」研修は開始から3年、コロナ禍でも引き合いが増え続けている。将来を見据えて人材育成に取り組む企業、大学など受講実績は110社・団体を超えた。講師は本紙記者や記者経験者。研修にあたっては「3密」回避の対策を十分にとり、オンライン講義も新たに導入した。
社員の文章力や表現力に問題を感じている企業の幹部が最近増えている。2020年度に初めて「新聞のちから」研修を導入した、鋼板加工業の大和(だいわ)鋼業(大阪府松原市)も、そうした企業の一つだ。
津井田友佳子取締役の悩みは、若手社員の「書く力」の物足りなさだった。そのため、「一度、『書くプロ』の新聞記者の研修を受けてみよう」と、若手からベテランまでの社員10人が「読む、書く、話す」の研修を計3回受講。2月12日には報告書の添削を受けるフォロー研修にも取り組んだ。
津井田取締役が「即効性があった」と感じたのは、研修の直後。受講生の直属の上司から「報告書がわかりやすくなった」と連絡が入ったという。「文書は大事なことから書く」など学んだことを実践した結果だった。「記者が直接教えてくれるので説得力が違う。ワークの題材も親しみやすく、無理せず自然に体得できたのが大きかった」と満足そうに振り返る。
受講生自身も研修の効果を実感する。入社6年目の氏川拓真さん(24)は「それまで文章を書くことを難しく考えていたが、簡潔、明快に書くことの大切さが、よくわかった」と話している。
総合物流会社の間口(まぐち)ホールディングス(大阪市)も2020年度、グループ会社の新入社員10人を対象に、初めて導入した。
8月に「新聞の読み方」、9月には「書き方」の講座を受けた。受講者が10月に実務研修の体験を役員の前で発表した時には、「大事なことから書く」という新聞記事の基本を生かして、重要なことにしぼってうまく話すことができるようになっていたという。
1月には、コミュニケーション能力向上のための「質問力」講座を実施。3人1組で、相手の良い点を引き出すインタビューに挑んだ=写真=。取材メモを交換し、自分の人物紹介を読売新聞に随時掲載される記事「顔」の要領でまとめた。「毎日自炊して料理の腕が上がった」などと、これまで知らなかったお互いの横顔を知り、理解が深まった。
人財戦略室の神﨑正利マネージャーは「情報を読み解く力を身につけるために、より正確な情報源として新聞の継続的な購読が必要と感じていた。受講者はしっかりとした文章が書けるようになった」と手応えを語る。
コロナ禍で、オンラインを利用した研修も増えている。テレワークを導入する会社が増加し、会議室などでの実施は「3密」につながるといった理由だ。遠隔地で働く社員が参加しやすいというメリットもある。
東京の大手ホテルは営業職など18人が新聞の読み方や文章の書き方などをオンラインで受講している。チャット機能なども活用、大阪市内でパソコンに向かう講師と活発に質疑応答している。「大変集中でき、勉強になった」などの感想が寄せられている。
清水建設関西支店(大阪市)では、講師が会議室に出向いた。関西や四国の若手営業マンら11人が自宅やオフィスのパソコンで講義を聞き、わかりやすい文章や上司を納得させる報告書の書き方などを学んだ。
オンライン研修に関しては、中国、四国地方の地域に根ざす会社からの問い合わせも増えている。
論理的な読み書きが学べるジュニア版として創設した「ロジカルリーディング・ライティング講座」。ロボットプログラミング教室「プログラボ」を展開する阪急阪神ホールディングスグループの「ミマモルメ」(大阪市)、読売テレビ放送と協業し、大阪、兵庫両府県の4教室で毎月1回開講している。
教材は「読売KODOMO新聞」や「読売中高生新聞」。小中高生らが、見出しや記事の伝える工夫などについて学んできた。
1月には、意見文を書く課題に取り組んだ。プログラボ豊中校(大阪府豊中市)では、小学校低学年~中学3年生が、自分のテーマを発表。「学校ではホワイトボードより黒板を使ってほしい」「国の新型コロナ対策はまだまだ不十分」など、様々な意見が飛び交った。
他の受講生からの質問や反論も踏まえ、自分の意見を400字程度にまとめた。途中、鉛筆が止まっている小学生には、講師が「なぜそう考えたんだろう」などと問いかけ、全員が書き上げた。
小学4年の芝田さくらさん(10)は「新聞を読むことで知らなかったことをたくさん発見できた。文章を書くことも嫌ではなくなった」と話している。
講座は3月までの計6回。21年度も開講が決まっており、受講生を募集している。
「新聞のちから」研修とは
「新聞のちから」委員会の講義・研修は、10人から数百人規模まで対応します。参加者1人につき、1コマ90分、読売新聞購読(1か月4400円・税込み)が基本です。自宅に毎日届く新聞を「テキスト」にして、学びを深めることができます。
各企業や自治体のご要望に合わせ、細かくメニューを作ります。その後、ご希望の日時、場所まで講師がおうかがいします。本社(大阪市北区)の会議室も利用できます。オンラインも可能です。
メニューは数十種類あり、期間もご相談に応じます。メール、電話などで、気軽にお問い合わせください。
【お問い合わせ】
読売新聞大阪本社「新聞のちから」委員会事務局
電話 06・6366・1880(平日10~17時)
2021.02.21 読売新聞朝刊=大阪本社版