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瀬戸内の魅力を発信
再生と成長循環に期待―「せとうちDMO」

2020年3月5日 読売新聞大阪本社版朝刊

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世界有数の多島美(たとうび)景観や新鮮な海の幸、温暖な気候で育った柑橘類など、独自で多様な資産からなる瀬戸内地域。こうした瀬戸内特有の魅力を官民が連携して「瀬戸内ブランド」として国内外に向けて発信し、観光関連産業を軸とした地域資産形成やネットワークを活用した地域再生を目指す取り組みが始まっています。
瀬戸内創生のカギとなる「食・住・遊」について、活動を推進する組織を代表するおふたりに聞きました。

(左)株式会社 瀬戸内ブランドコーポレーション 代表取締役社長 藤田 明久
電通入社後、CCI取締役や、D2C代表取締役社長に就任、その後ぐるなび、ぱどと公開企業の副社長を歴任。経営者歴は24年に及ぶ。

(右)一般社団法人 せとうち観光推進機構 専務理事 金平 京子
オリエンタルランド、オーストラリア政府観光局などのマーケティング部門で活躍。日本政府観光局アドバイザーとして多数のプロジェクトに携わる。

  • DMO

DMOとは?

「Destination Marketing / Management Organization」の略。観光地(Destination)を活性化させて観光地域全体を一体的にマネジメントしていく組織を指す。新規客流入とリピート率向上、交流人口を増やし、地域内の官民協働・連携による魅力ある観光地域づくりを行う事業主体として、中心的な役割を期待されている。

観光需要の創出と観光ビジネスの拡大を目的に「せとうちDMO」が生まれたそうですね。

藤田 官民で構成する「一般社団法人せとうち観光推進機構」と金融機関を中心とする民間主体の「株式会社瀬戸内ブランドコーポレーション」が連携し、2016年春から事業をスタートさせました。瀬戸内海を囲む7県(兵庫・岡山・広島・山口・徳島・香川・愛媛)全体で瀬戸内ブランドを確立し、経済活性化や持続可能な地域社会の実現を目指しています。瀬戸内の人々が「守ってきた景色」「守り続けたい文化」「伝えたい歴史」「来てほしい想い」をせとうちDMOが代弁することで、国内外からより多くの人が「魅力を体験しやすくなる」「より回遊したくなる」「満足しやすくなる」「二度三度と訪問したくなる」ための活動を行っています。

  • 金平 京子氏

最近「せとうち」は海外の観光客からも注目されていますね。

金平 市場規模が大きく、瀬戸内への関心が高いなどの理由から、欧米豪の人々を対象としたインバウンド戦略に取り組んでいます。より精神的な豊かさを求める旅行者にとって、内海特有の穏やかさや多彩な観光資源を持つ瀬戸内は大変魅力的に映るようで、海外有力メディアが発表する「2019年行くべき旅行先」に選ばれたほどです。今後は新たな価値づくりや埋もれているコンテンツを磨き上げて発信していきます。

藤田 瀬戸内の食の魅力を広く知ってもらうための通販サイト「島と暮らす」の運営をはじめ、「瀬戸内おみやげコンクール」を開催して優れた商品の掘り起こしや産品事業者への販売支援も行っています。また、観光関連事業に役立つツールが定額制で使える会員制サービス「せとうちDMOメンバーズ」の運営にも力を入れています。

具体的にはどんなことに取り組んでおられますか?

藤田 瀬戸内らしさを表すテーマ(クルーズ、サイクリング、アート、食、宿、地域産品)を設け、各県を横断した取り組みに力を入れています。例えば、瀬戸内海を2泊3日で巡り、優雅で非日常感を味わえるクルーズ船「guntû(ガンツウ)」の事業支援や、しまなみ海道を走るサイクリスト向けの船「サイクルシップ・ラズリ」の運航支援、広島県庄原市の山間部にある空き家古民家をリノベーションし宿泊施設「長者屋」として開業するなど、話題性の高い取り組みを自治体や地域住民と連携しながら進めています。

  • 藤田 明久氏

国内外から人が集まるとそこに住む人たちの意識も変化が期待できそうですね。

藤田 一例ですが昨年、国内外から大勢のサイクリストが訪れるしまなみ海道のほぼ中間にある生口島の「しおまち商店街」を活性化するワークショップを開催しました。瀬戸内以外の人や若者が自由な発想で空き店舗の活用アイデアを出し、地域住民と交流することで観光を基点とした新たな産業と雇用の拡大が促進されます。さらには住民の間に誇りと希望が生まれ、自立的で永続的な成長循環の実現が期待されるのです。また、20年春には香川県に「四国水族館」が開業し、新しい観光拠点としても注目され、新たな雇用の場を生み出します。

各地の魅力をつなげ、価値を高めていくこととは?

金平 特に欧米の観光客にとっては、観光スポットがどこの県にあるかは重要ではありません。自分好みのテーマを組み合わせ、ゆったりと滞在しながら地元の人との交流や郷土の味を五感で体験し、どんなストーリーをつむいでいくかーー。広域でこそ旅の楽しみ方も多様化し、ワオ!というサプライズや感動が生まれるのが瀬戸内なのだと思います。海外だけではなく国内の皆様にもぜひ、家族やお友だちとご一緒に足を運んで、自分だけの魅力を発見し、記憶に残る旅を体験していただきたいと思います。

2020年3月5日 読売新聞大阪本社版朝刊掲載
挑むKANSAI「瀬戸内の魅力を発信」




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