~考えてみよう。世界のこと、日本のこと~
世界を舞台に活躍するのに必要な“国際力”を身につけてもらうことを目的に2009年に始まった「高校生英語エッセーコンテスト」。10回目を迎えた今回は、5542作品の応募があった。文章力や表現力、印象度などの観点から厳正な審査を経て10作品が選出。高校生ならではの発想と感性、伝えたいという「思い」の強さが感じられた受賞作品から、最優秀賞の作品を和訳付きで紹介する。
※受賞作品は、学校名を伏せた厳正な審査のもとで決定いたしました。
【主催】関西学院大学、読売新聞大阪本社、ジャパン・ニューズ
【審査員】田淵結・関西学院院長、竹岡広信・竹岡塾塾長、松浦一樹・読売新聞東京本社英字新聞部次長
最優秀賞受賞作品
日本では2020年に素晴らしいイベントが催されます。東京五輪・パラリンピックです。みなさんは、パラリンピックが五輪ほどにはわくわくしないと思っていませんか。私もかつてはそう思っていたのですが、ある野球チームを知ることによって、考えが変わりました。
2年前、私はある野球チームにスタッフとして加わりました。ある日、休憩を取っていると、チームメートの1人がランニングを終えてベンチに戻ってくるなり、左脚を取り外しました。私はそれに驚いてしまい、言葉を発することができませんでした。私を仰天させたこの出来事が、身体障がい者野球との出会いでした。チームメートたちのことを知るにつれて、彼らの隠れた能力が何であるのかが、分かるようになりました。腕に障がいのある選手たちは、片腕でバットを振ります。それでも、柵越えを放つことができるのです。野手たちは、捕球すると直ちにグラブを外して、投げる態勢を整えます。
ある時、チームメートの1人と話をする機会がありました。彼は21歳の時に交通事故で負傷しました。左脚が切断されたので、義足を使っています。その後、身体障がい者野球に出会い、スポーツを続けられることに深く感動したそうです。やがて、物事を前向きに考えることができるようになりました。
彼はこう話していました。「腕に障がいがある人は、人より足が速い。足に障がいがある人は、人よりバットを強く振ることができる。私たち一人ひとりが自分たちの特技を生かしてチームに貢献できる。私たちは助け合うこともできる」
チームに加わるまで、障がい者というのは「何らかの能力を失った人」のことだと思い込んでいました。しかし、野球の練習を通じて、私の考え方は完全に変わりました。
もちろん、困難には直面するでしょうが、ほかの人たちだって、困難には直面します。私たちは、どうすれば困難を克服できるか、彼らから学ぶことができるはずです。お互いに助け合うことによって、選手たちは自らの障がいを特別な能力に変えることができるのです。
私からみなさんにお伝えしたいのは、パラリンピックが始まったら「あの人たちは障がいを持っているが、がんばっているのだ」とは思わないでほしい、ということです。ただ「彼はなんて足が速いんだ」「なんてすごい試合なんだ」と目を見張ってほしいのです。彼らの障がいにではなく、彼らの大活躍に驚かされるだろうからです。
貴重な体験を自分なりに表現
今回はこのような賞を頂くことができ、とても嬉(うれ)しく思っています。障がい者野球チームのスタッフとしての貴重な体験を生かして、障がいの捉え方を自分なりに表現することができたと思います。
今回の受賞は自分にとって大きな自信となりました。高校の英語の勉強は想像以上に難しいですが、この経験を励みに頑張っていきます。
生活の場「広がり」感じる
今回の英語エッセーコンテストの審査をしながら、高校生の皆さんが生活する場の「広がり」を強く感じさせられました。毎日を暮らす場、自分が訪ねてきた所、インターネットを通じて自分の興味や関心が広がる世界、そこで皆さんは自然に英語に触れながら過ごしておられるようです。そこでの経験を踏まえての作品はいずれも力作で、審査はとても難しいものでした。私も皆さんからたくさん学ばせていただきました。
関西学院院長 田淵 結
受賞作品
最優秀賞 | How should we regard disabilities? |
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優 秀 賞 | The War for Education The Meal Delivery Service for Seniors My Dream:Ethical Fashion |
努 力 賞 | Full stomachs empty landfill Paper books are needless? Kindness is never lost・・・ To prevent another false accusation The day bread disappeared from our table The Dream Of K-POP Music |
ご応募ありがとうございました