~考えてみよう。世界のこと、日本のこと

 世界を舞台に活躍するのに必要な“国際力”を身につけてもらうことを目的に2009年に始まった「高校生英語エッセーコンテスト」。9回目を迎えた今回は、過去最多となる5914作品の応募があった。文章力や表現力、印象度などの観点から厳正な審査を経て一般部門から9作品、海外経験部門から2作品が選出。高校生ならではの発想と感性、伝えたいという「思い」の強さが感じられた受賞作品から、一般部門最優秀賞の作品を和訳付きで紹介する。

【主催】関西学院大学、読売新聞大阪本社、ジャパン・ニューズ
【審査員】田淵結・関西学院院長、竹岡広信・竹岡塾塾長、松浦一樹・読売新聞東京本社英字新聞部次長

最優秀賞受賞作品

訳「チョコレートの夢」

 [西アフリカの国]ガーナへ行き、現地の子供たちにチョコレートを食べさせてあげることが、私の夢です。この子供たちが、チョコレートの主要成分であるカカオを生産しているのです。

 経済的に恵まれないため、働かなければならない子供たちは大勢います。これが「児童労働」と呼ばれている問題です。

 中学生の時に、児童労働を取り上げているビデオを見ました。アペティとコフィという少年2人が登場しました。[兄弟である]彼らは幼少からカカオ農場で働いていましたが、最初はなぜ学校に行かずに仕事をしなければならないのか、よく分かりませんでした。母親が病気のため、学校に行きたくても、そのためのお金がなかったのです。

 朝から晩まで、木になっているカカオの実を採ることが、2人の主な仕事でした。単純で簡単な仕事に思えますが、幼い子供たちにとっては重労働でした。仕事中にだらけると、罰せられました。自由になる時間は、就寝前の一時だけでした。

 アペティは母親が病気になるまで学校に通っていましたが、コフィは行ったことがありません。そのため、アペティが毎晩、コフィに言葉を教えています。2人とも学校に通って、勉強がしたかったのです。

 [ビデオを見て]学校に行くということが、当然ではないのだということを知りました。私自身は何の支障もなく学校に通うことができますが、そうはいかない子供たちにとっては、特別なことなのです。私はこのビデオがしばらく気になって、自分が家族のために働いたり、お金がなかったり、ガーナで生まれていたりしたら、どうなっていただろうと、考えてみました。そうすることで、自分がいかに恵まれているかを知ったのです。これまで、働かなければならない状況に追い込まれたことはないし、暮らしに困ったこともありません。

 もし、ガーナに行く夢がかなったら、子供たちにチョコレートがどういうものか、教えてあげたい。アペティとコフィはチョコレートを見たことも食べたこともありません。そう聞いた時は、ショックでした。だから、いつの日か、カカオを生産している子供たちにチョコレートを食べさせてあげたいのです。小さな夢ですが、実現させたいと思います。

 私たちは自分たちがいかに恵まれているかに気づくべきだし、私たちの日常にもかかわる世界の諸問題にもっと敏感になるべきです。世界を助けるために最大限尽くすべきだし、子供たちが何も心配せずに学校に行けるようにしてあげるべきです。簡単なことではありませんが、世界をもっと安全で、幸せに感じられるところにしたいと思っています。

喜びの声

世界への主張 大きな一歩に

 今回はこのような賞を頂くことができとても光栄に思います。中学生の頃から気になっていた世界の児童労働について自分が考えていることを今回のこのエッセーコンテストを通して主張できたと思います。この経験を生かし、児童労働だけでなく現在世界で起きている問題を私たちの世代から十分に理解しそれらを一日でも早くいい方向に向かわせられるように貢献していきたいと思います。今回の経験は自分自身の中でとても大きな一歩になったと思います。このようなすてきな機会を与えてくださりありがとうございました。

審査講評

英語で「考える」力を実感

 今年も高校生英語エッセーコンテストの優秀作品が決定しました。審査をさせていただきながらふと気づかされたこと、それはよく耳にする「英語四技能」(読む、聞く、書く、話す)という言い方には、もうひとつ大事な「(英語で)考える」ということが欠けている、ということです。今回の優秀作品はみな「英語で考えた」ということを実感させるのです。すでにみなさんはもっと進んだ英語力を、確実に身につけられていますね。

関西学院院長 田淵 結

受賞作品

一般部門

最優秀賞

My Chocolate Dream
西峯 凜さん(梅花高等学校

優 秀 賞

The hardest job
大湯 優花さん(埼玉県立不動岡高等学校)

Supporting Real Life Heroes
藤井 純香さん(富山国際大学付属高等学校)

The best medicine
伊藤 玲奈さん(京都市立紫野高等学校)

The Best Beautiful Skin in the world
向 凜さん(京都市立紫野高等学校)

努 力 賞

One good thing
本郷 愛紗さん(名城大学附属高等学校)

LGBT people
川満 妃華さん(昭和薬科大学附属高等学校)

In this shrinking world
小杉 泉さん(京都府立嵯峨野高等学校)

Beyond linguistic barriers
渡辺 里奈さん(和歌山県立橋本高等学校)

海外経験部門

最優秀賞

Step Right Up!!
久世 眞由美さん(米チョート・ローズマリー・ホール校)

優 秀 賞

Thinking About Terrorism
藤井 奈央さん(名古屋国際高等学校)

団体応募校一覧(全95校、順不同)

ご応募ありがとうございました