HOME「高速道路の走行を安全・安心・快適に」座談会

2018年9月21日 読売新聞 朝刊(大阪本社版)

9月21〜30日は秋の全国交通安全運動期間高速道路の走行を安全・安心・快適に

 阪神高速道路は1日平均75万台以上の交通量を誇り、関西の暮らしと発展を支えています。高速道路の役割や安全対策、大規模災害時における対応などについて、阪神高速道路株式会社(大阪市中央区)の次世代を担う若手社員の皆さんに聞きました。
(進行はフリーアナウンサーの八木早希さん)


座談会出席者:総務人事部 防災・危機管理室 担当 鍛治 翔志さん(防災担当)/経営企画部 CS推進・広報室 担当 谷澤 史朗さん(CS担当)/保全交通部 システム技術課 担当 向井 梨紗さん(道路情報担当)/保全交通部 交通企画課 主任 玉田 和也さん(交通安全担当)


 

事故を未然に防ぐ対策
安全なドライブ環境を

八木 近年、逆走や誤進入のニュースをよく聞きます。高速道路に多い事故の傾向と対策は。

玉田(交通安全担当) 多いのは渋滞末尾への追突や車両同士の接触事故です。渋滞区間の情報提供や、路面表示・カラー舗装により車の流れを良くするなどの対策を行っています。また、逆走は社会問題でもあり、国が掲げる「2020年までに高速道路での逆走事故ゼロを目指す」という目標を実現するため、すべての出口と合流部に矢印路面表示や注意喚起看板などを設置する標準的な対策はおおむね完了しました。今後は、逆走や誤進入をセンサーで検出して警告を出すことのできる装置の充実を図りたいと考えています。

八木 落下物も怖いですね。

玉田 ドライバーの方への啓発活動や積載方法の指導を行っています。風が強く荷物が落ちやすい湾岸線などではパトロールを強化し、落下物の早期発見・回収に努めています。

向井(道路情報担当) 早く正確な情報提供を心がけていますが、道路を走行中のお客さまも、落下物を見かけたら、道路緊急ダイヤル(#9910)まで通報してください。

八木 ドライバー自身もパトロールの目を持ち、みんなで高速道路を守っていく意識は大切ですね。そのほかの事故削減への取り組みは。

玉田 「交通安全対策アクションプログラム」を策定し、交通事故に関するデータを蓄積・分析して様々な対策を行った結果、阪神高速集計値で2005年度に7000件を超えていた交通事故が昨年度は約5800件まで減りました。引き続き、事故多発区間を重点的に対策していきます。

災害時の備えも充実
安心して利用できる

八木 災害時の高速道路の役割をどう考えますか。

鍛治(防災担当) 阪神高速は平常時から人・物資が大量に流通していますが、災害時も人の救援・物資の流通の要です。復旧に役立てるよう、緊急交通路として早い再開を目指します。

八木 私は大阪北部地震の時、一般道にいました。完全に交通網がマヒし、逃げ道や複数ルートの必要性を痛感しました。ところで、災害発生時に高速道路上にいたらどうすれば。

鍛治 震度5強以上の強いゆれがあった場合、阪神高速は緊急点検のため通行止めを行います。阪神高速道路を走行中に災害が発生した場合はゆっくりと減速し、路肩に止まってから、ラジオやスマートフォンで状況を確認してください。安全が確認されたところからパトロール隊員や警官が誘導します。

八木 これまでどのような災害対策をされてきたのですか。

鍛治 阪神高速は1995年の阪神・淡路大震災において、3号神戸線で橋脚が倒壊するなど甚大な被害を受けました。この経験を踏まえ、阪神・淡路大震災クラスの災害に対して施設の倒壊や落橋など大きな被害がでないよう、2011年度までに耐震補強を完了しました。災害時に被害が発生した場合でも早期に応急復旧を行い、緊急交通路として通行していただけるよう更なる耐震補強を進めているところです。

八木 南海トラフ巨大地震を想定した対策はされていますか。

鍛治 南海トラフ巨大地震対策は阪神高速の防災の一つの大きなテーマです。毎年取り組む総合防災訓練では、津波を想定した訓練も行っており、早急に復旧できるよう備えを万全にと考えています。

お客さまの「声」を形に
快適な走行を提供するために

八木 お客さまからはどのような「声」がありますか。

谷澤(CS担当) 料金のお支払いに関するものが多いです。また、当社が指定する出入口間を一般道を経由して乗り継いだ場合に1回の通行とみなす乗継制度がありますが、もっと別の区間でもやって欲しいという要望があります。ほかには、経路が分かりにくいという具体的なお客さまからのご指摘に対して、神戸線から淀川左岸線へ向かうジャンクションの車線の路面表示を変更したり、時間によっては西日で見づらくなる標識を逆光でも見やすく改良したりするなど、様々なお客さまの「声」を形にしてきました。

八木 最近は、高速道路自体をレジャーとして捉え、サービスエリア(SA)に遊びにいく人も増えているようです。高速道路の役割が変わってきているのでは。

谷澤 都市高速ではスペースの確保が難しいので大規模な施設は造れませんが、阪神高速自体に魅力を感じてもらえるように、今までの形にとらわれない新しいコンテンツを提供していきます。

八木 10年、20年先を見据えて、阪神高速道路の展望や夢をお願いします。

玉田 お客さまがより安全・安心・快適に走行できる高速道路にしていきたいと思っています。安全面ではアクションプログラムに基づいて対策を進め、事故削減に取り組み、安心して走行できる高速道路にしたいと考えています。そして快適性の点では、外国の方を含めすべてのお客さまが安心して走行できるようにしたいです。

八木 海外は車社会が多く、荷物の問題もあり、外国人旅行客にとっては電車に乗ること自体が負担になる場合もあります。関西の観光の活性化という意味でも、開けた街づくりを期待しています。

向井 私の部署では情報提供を取り扱っているので、お客さまへより良い情報を提供できるように改善していかなければならないと実感しています。今ある技術に加え、新しい技術も取り入れて、色々と取り組んでいけたらいいですね。

谷澤 お客さまの「声」を集めるのはもちろん、お客さまの「声」を真摯に受け止め、サービスの向上と改善に取り組んでいきます。そして取り組みをしっかりと発信し、「阪神高速っていいよね」と思っていただけるような安全・安心・快適な道路をつくっていきたいです。

八木 利用者も、もっと声をあげていいですよね。街全体を良くするために、利用者も当事者として意見を言えるという関係を築けたら理想的だと思えました。

鍛治 構造物の耐震補強などももちろんですが、もし走行中に地震がおきても、適切に行動してもらえるよう情報提供していきたいです。南海トラフ巨大地震などの災害に備え、被害を最小限に抑えることを目指します。


パーキングエリアでほっと一息
“ほっと処”の有効利用を

 阪神高速では「お客さまに事故なく安全に目的地まで行っていただく」を第一に快適な空間でほっとできるようなパーキングエリア(PA)“ほっと処”を整備しています。例えば中島PAは海に面しており夕日がとてもきれいでほっと一息つけること間違いなしですよ。また、阪神高速道路の指定の出入口を通行することが条件ですが、高速道路外の提携施設を通常のPAと同じように、途中退出しないときと同じ通行料金でご利用いただけるサービス(路外パーキングサービス)を実施中です。この他にも阪神高速には魅力的なPAがございます。阪神高速をご利用の際には当社のPAでほっと一息ついていただき、安全に目的地までのドライブを楽しんでくださいね。

座談会を終えて

八木 早希 さん


 これまでは道路に「走る」という接点しか持てませんでしたが、安全や安心は人によって支えられていることを改めて実感しました。今日お話しした阪神高速の未来を担う若手社員の皆さんの力で道路を一段と進化させ、より安全なものにしていただけることを期待しています。