高校生の今の思いをメッセージにして募集する「第22回高校生フォーラム 17歳からのメッセージ」は、今年も3万170作品の応募がありました。8月31日(水)に最終審査会が行われ、意見と感想が交わされた結果、グランプリ3作品、金賞9作品、学生審査員賞1作品のほか、銀賞55作品、奨励賞83作品、学校特別賞30校が選出されました。紙上(2022年9月30日付読売新聞大阪本社版朝刊)ではグランプリ作品を、WEBではグランプリ及び金賞の作品について紹介いたします。

テーマ1 今までの自分、これからの自分

テーマ2 自分が思う大人(成人)とは

テーマ3 今、これだけは言いたい!(自由課題)

グランプリ

テーマ1

透明という色
佐賀県立武雄高等学校(佐賀県)北川 輪さん

 僕には大切な手帳がある。その手帳には過去から未来の自分への手紙を書いていた。入学式、卒業式などの節目はもちろん、日常の不安な事まで本当に沢山の事を書いた。そして僕は去年の年末、久しぶりにこの手帳を発掘した。最後のページからパラパラめくっていると手帳の中程、何度も消した跡があるのに本文は大きなページに一言。「あなたは今何色ですか。」差出人は中二の僕。
 小さい時から僕はよく自分には色がないと感じていた。勉強ができるわけでもスポーツができるわけでもなく、ただただ普通。友達から見てもそんな僕はきっとつまらなかったのだろう。小学校の教室ではほとんど一人で過ごしていた。当時の僕は「友達が多い」という華やかな色がほしかった。中学校ではそんな自分を変えたくて中学受験をした。運よく受かったものの周りには勉強やスポーツ、加えて人間性までもが輝く綺麗な色を持つ人達ばかり。僕は色のない自分が大嫌いになった。
 そんな僕を救ってくれたのは友達の何気ない一言だった。「透明って何色にでも染まれるし透明のままでも綺麗よね。」この言葉を聞き、僕は見えなかっただけで僕はずっと「透明」という色を持っていた事に気が付いた。
 僕は少し悩んでペンを手に取り「何色にでも染まれて何色にもならなくてもいい透明。」と過去の自分に返事を書いて手帳を閉じた。僕は他の色になっても透明でもその色を大切に生きていきたい。

テーマ2

ショートケーキ
長崎県立上五島高等学校(長崎県)永田 美結さん

 私の弟は小学五年生。絶賛反抗期中です。ついこの前までは母のことが大好きでいつもくっついて離れなかったのに、最近では母が弟に声をかけると「だまれ。」、朝起こしただけで「うるさい。」と常にイライラしている状況です。そんな弟に対して母は、聞き流すという大人の対応を見せていますが、母も人間です。十回の暴言に対して一回程度はキレ返しています。
 思春期・反抗期は誰にでもあるもので、勿論私や妹にもありました。しかし弟が一番ひどいそうで、そんな弟への対応に母も悩んでいます。「いつまで反抗期か、期限が分かれば良いのに。」と母は言いますが、弟に聞くと「一生反抗期。」だそうです。きっと私なら暴言を吐かれる度に感情的になって反撃すると思います。子育てって大変だ。弟を見ているとしみじみそう思います。そんな弟ですが最近まで母と同じ部屋で寝ていたのに、隣の部屋で寝ると言い出しました。弟が少しだけ襖を開けて寝ていたのはきっと母の姿が見えるようにだと思います。そんな子供らしい一面も残っていたことに私は安心しました。
 今日家族でケーキを食べていると、母が自分のショートケーキの苺を弟にあげました。無言でうなずく弟。ありがとうって素直に言えば良いのに。まず私ならメインの苺を誰かにあげるなんてありえません。ぶっきらぼうにその苺を食べる弟を笑顔で眺める母。私が思う大人とは、間違いなく私の母です。

テーマ3

無題
高知市立高知商業高等学校(高知県)大﨑 いぶきさん

 疲労と寒さが気分も体も重くさせる冬の夜。今日はどうだろうと物置小屋の屋根へあがった。空を見上げれば視界の端まで散らばった星が輝いている。時間差で消える照明が役目を果たすと周囲は一層境界線が分からなくなった。
 今どきネットを使えばこれより綺麗な星空を見ることなんて造作もない。確かに私は綺麗な星空を見るとそれなりに心は動かされる。しかし私は画面には残せない、記録からは体験できない情報を感じられるこの空が好きだ。よく見ると明暗がうつり変わる星、時々見間違える飛行機、運が良ければ見られる流れ星、少し人恋しくなる冬の空気。言葉に言い表せないこの感覚に浸っていると自分の境界線が溶けていくような、不思議な気分になる。
 私はよく写真を撮る。目で見た世界を切り取っていつでも見られるようにとデータへ変換している。するとやはりレンズや液晶越しに映る世界は目に映る情報がそのまま映っている訳ではなかった。それを見て私は改めて焼き付けるように空を見上げ、マスクをズラして空気を味わう。たとえこの写真をネットで流しても肉眼で見る色は分からないだろう、この空の匂いを知らないだろう。下を向いて手の平サイズから見える広い世界だけでは伝わらないこともあるんだと私は言いたい。

金賞

テーマ1

私のルーツ
山梨県立身延高等学校(山梨県)遠藤 夕さん

 総門という門をくぐればそこは聖域、別世界である。早朝は大鐘楼の鐘の音で始まり、大太鼓が打ち鳴らされ、木柾(もくしょう)、読経の声が家々から響き渡る。日蓮宗総本山、身延山久遠寺の御膝元。私のくらすこの町はそういう場所だ。毎日聞くお経に、香ってくるお線香。久遠寺と御廟所(ごびょうしょ)に足を向けて寝ないだとか、総門をくぐる時は三唱するだとか。そういう決まりではないけれど、習慣として根付いているものが私の中にはある。
 日本人にとって宗教とは何か。私は宗教とは文化だと思っている。『宗教』としての認識は薄いだろう。私たちはクリスマスを祝うし、正月には神社やお寺に初詣に行く。日常的になぜ祝うのかなど考えることは少ない。なぜなら、それは私たちにとって生活の一部だからだ。トイレや米の一粒にまで神様が宿るというアニミズムの考えを持っている日本だからこその独特の宗教観だろうと思う。
 その中で私は一応仏教徒で、日蓮宗という宗派に属している。私の住む町がそういう町だからだ。けれど煩わしいとは思わない。案外この環境を気に入っていたりする。もちろん信仰はその人の自由だけれど、神に、仏に、縋(すが)りたい時はきっとある。そんな人の心の拠り所になり得るこの町を、私は私なりに守りたいと思う。きっとこの環境は少し特殊だ。それでも私は、大鐘楼の鐘の音を聞きながらこれからも、この町でくらしていくのだと思う。

テーマ1

ラーメン
岡山県立岡山東商業高等学校(岡山県)杉浦 凜さん

 私は綺麗な風景や思い出に残したいと思う瞬間、美味しそうな食べ物の写真を撮ってスマートフォンに記憶させていく。これは、SNSに投稿するためでもある。
 休日に父と母と私の三人で有名店のラーメンを食べに行った。オシャレなランチを食べに行きたかった。そう思っていたら、私が頼んだしょうゆラーメンが運ばれてきた。私はいつも通りSNSに投稿するために満足いくまでラーメンの写真を撮った。写真を撮ることに夢中で、気が付いたら父と母のラーメンも運ばれてきていた。すると、父がこう言った。「ラーメンを食べに来たのになんで写真を撮ることに没頭するん? 麺のびるよ。」そう言われてラーメンを作った人に私は申し訳ない気持ちになり、すぐにラーメンを食べ始めた。
 「美味しさ」ではなく「映え」を求めて店を決めることが普通になっていた。そのことに父の発言によって初めて気付かされた。必ずしもSNSに投稿しなければならないわけではないのに、自己満足のために、共有したいがために写真を撮る。よく考えてみると、食べ物の美味しい時間を奪ってまですることではない。なんだか恥ずかしくなった。
 一緒に行った人と楽しく会話をしながらラーメンを食べるという本来の目的を忘れないようにしたい。そう思わせてくれた父に感謝した。またいつかここのラーメンを食べに来たい。その時は、一枚だけ写真を撮ろう。

テーマ1

1人の理解者
熊本県立球磨中央高等学校(熊本県)岩崎 大河さん

 「吸い込まれる感覚がして好き。」自分の描いた歪な絵に向かってふと放たれたその言葉は、僕の心にまるで痺れるような衝撃を与えた。あれはある種の高揚感とも言えるだろう。僕の中の不安や悲しみのモヤモヤとした霧のようなものをその言葉1つで綺麗に晴らしてくれた。
 僕は暇なときや何かに感銘を受けたときに紙に自分の思い描いたものを描く。だが、そのように思いつきで絵を描くようになったのはごく最近のことだ。以前までの自分は、自分の描いた絵に自信が持てず、他の人が描いた漫画のイラストなどを模写することばかりしていた。そもそも、なぜ自分の絵に自信を持つことができなかったのかは、自分の描く絵はどこか不気味な印象を得やすい絵だったからだ。だがそのような絵には好き嫌いがあり、友人の大半は受け入れ難いようだった。だが、「吸い込まれる感覚がして好き。」という言葉をきっかけに、今の自分は、そんな自分が描く独特で少し歪んだ絵が好きになっている。たった1人の僕の絵の理解者が放ったその言葉は、僕の数少ない理解者を発見した喜びとともに、僕の心のどこかにあった承認欲求すらも満たしてくれた。
 たった1人の理解者が僕を救ってくれたのだ。たとえ自分には理解ができなかったとしても、それを少しでも理解しようとする努力を僕はとても美しいと思う。

テーマ2

ちょっと愚痴ってもいいですか?
石川県立小松北高等学校(石川県)辰巳 結衣さん

 こんにちは、大人です。例年より二年早く、十八で大人になるよう社会が決めました。
 これを読んでいるということは、私の愚痴を聞いてくれるということですので話していきたいと思います。
 私ってけっこう頑張ってると思う。学校の人間関係にヒビが入らないように、テストで悪い点をとらないように…。頑張ってるから、これ以上他のことに手を出すと首が回らなくなる気がするんです。やりたいことがあっても、たとえばバイトとか、そういうことに着手する行動力がするすると手から逃げていく。皆はやってるのに。でも私だって頑張ってるはずなんですけどね。
 中学のころ、親に「学生は勉強が仕事。」と言われたことがあります。大人の自分は仕事を頑張ってるからあなたは勉強を頑張りなさいと。今、私は高校生。学生です。でも、大人にもなりました。…学生なのに大人になったら、仕事と勉強、両方しないと立派じゃないんでしょうか。それなら私は立派じゃない。授業中騒いでるけどバイトしてる人が立派な人。なんかおかしくないですか? そんな人、私はクソガキだと思うんですけど。社会的な「大人」と、自分の思う「大人」とに、なにやら決定的なズレを感じるんです。
 いつもこんなことを考えてる。社会の決めごとに心がおいつかない。こうやってうだうだ考えているうちに、「大人」に心が取り残されていく。…以上、愚痴でした。

テーマ2

ピアノの音色
兵庫県立姫路南高等学校(兵庫県)沖元 優衣さん

 私は学校の帰り道に必ずしている事がある。それは駅に置いてあるストリートピアノの演奏を聴く事。そこでは年齢も職業も様々な人が好きなように演奏している。そのピアノの音色はレトロ風でとても心地が良い。だが周りは違う。周りの人々は自分の事で精いっぱいでピアノの演奏なんか見向きもしない。まるで元々ピアノの音色なんか聴こえないみたいに。私はこんな素敵な演奏なのに聴いているのはまるで自分だけのような雰囲気に寂しくなった。
 また私はいつものようにピアノの演奏を聴きにきた。周りの人々はまたいつものように見向きもしない。ピアノの演奏が終わり私も家に帰ろうとイスから立ち上がった時だった。一人の会社員の男性が演奏をしていた人に拍手を送った。私はその光景に驚いた。こんな真剣に演奏を聴いている人がいるなんて、と思った。演奏していた人は自分に拍手を送られている事にとても驚いていた。その後照れくさそうに軽い会釈をして帰っていった。私はその時思った。私が思う大人の理想像とはこの会社員の男性のような人だ。他の周りの人々はピアノの演奏なんか見向きもしない。けれどこの人は足を止めて演奏を最後まで聴き拍手を送った。私も、この人のようにどんな小さな事でも気づいて足を止め、興味を持ち全力で楽しめるような大人になりたいと思った。

テーマ3

黒板の前の多様性
愛知県立岡崎高等学校(愛知県)森田 康生さん

 「ヤスオっていうの?」
 ネパール人のカトリと初めて言葉を交わしたのは、黒板の前だった。入学後間もないとき、康生という名前を見て彼は唐突に聞いてきた。定時制高校のクラスメイトは国際色豊かだ。初対面の外国人。そんな状況に、僕の心拍数は上がっていた。
 「コウセイだよ。」
 そう言って黒板にひらがなを書くと、
 「コウセイ・・・ね。」
とカトリは微笑んで僕の名前を覚えてくれた。
 僕のクラスには四つの国の生徒が在籍していて、先生からの質問がわからないときは、クラスメイトが英語や母国語で通訳する。日本語を習得しながら高等学校で学ぶのは大変だと思うが、そんな高校生活を楽しむ彼らは、いつもクールだなぁと感じている。
 ある日、カトリが黒板に母国語を書いているのを見て、
 「それ、なんて読むの?」
と聞いた。カトリは、
 「餃子。」
と言った。予想外の答えに、僕はくすりと笑ってしまった。カトリも笑った。一緒に餃子が食べたくなった。
 多様性は、言葉だけ独り歩きするものではない。どんな場所でも場面でも、ニーズと一緒に生まれる。

テーマ3

働け、兄よ!
初芝富田林高等学校(大阪府)鈴木 隆太さん

 「よっしゃー!」と男の声がリビングに響いている。この男、私の兄なんだが、働いていない。年齢は本人の尊厳のためにも伏せておこう。今、私は家で大乱闘スマッシュブラザーズ、略してスマブラをこの男としている。この男とは9勝1敗だ。相手が可哀そうだからという理由で、この場を盛り下げないための1敗だ。こうやってこの男から大人というものを学んでいく。
 「弱すぎやろ! 社会のゴミやん!」言い過ぎだろう。そして社会のゴミはこの男だ。さっさと働け。
 「お前は明日もおれには勝たれへんで!」地味に明日もしよと誘ってくるな。この男はどれほど暇なのだろうか。さっさと働いてください。お願いします。
 「もう1回!」これは私の言葉だ。この男に負けるのは悔しいが、なにより兄とのゲームはすごく楽しい。この男を見ていると大人でも笑える、楽しめる、自由なんだと思える。大人は社会に束縛され、自由らしい自由は無いと思っていた。だがここに自由が存在している。これから大人になる私はこれほど人生を楽しめるのだろうか。今は楽しそうな2人の声がリビングに響いていた。
 シングルマザーである母が帰ってきた。皿が溢れる台所を見て、散らかったままの部屋を見て、近所に迷惑をかけるほどうるさい2人を見て、ボソッと呟いた。
 「働いてくれ、兄よ。」

テーマ3

父と僕
岡山県立岡山東商業高等学校(岡山県)小島 怜旺さん

 父は寡黙だ。父はいつもユニフォームを洗ってくれていた。幼稚園で野球を始めてからずっとだ。
 僕の高校は県下で唯一甲子園で優勝したことのある高校だ。第一志望だったこの高校に入り、僕はそれまで以上に練習にあけくれていた。そんなある日、かなり疲れて帰った時、父に「いつもよりユニフォーム汚れとるな。」と言われた。僕は洗うのが大変だと嫌味を言われているように感じた。父との会話も少なくなっていった。
 高一の秋、父が足を骨折し入院したと母から連絡が来た。その日からユニフォームは自分で洗うしかなかった。洗濯機があれば大丈夫だと簡単に考えていた。しかし思っていたほど簡単ではない。強くこすらないと真っ黒になった汚れは落ちない。疲れきった自分にそんな力は残っていない。それも毎日だ。でも、父は仕事で疲れていても毎晩洗ってくれていた。
 父が退院してからも自分で洗うようになった。高二の冬、レギュラー入りを目指していつも以上に練習をして帰った日、父が「今日はお父さんが洗う。お前が練習で頑張って汚れたユニフォーム見たら嬉しくなる。」と笑顔で声をかけてきた。その時父からの愛を感じた。僕は勘違いしていた。何気なく着ていた真っ白のユニフォーム。それは父からのメッセージでもあった。「お父さんには野球という形で恩返しする」僕はそう誓った。

テーマ3

教育の翼
都城東高等学校(宮崎県)ブランド ウズマさん

 私は、パキスタンから日本に来ている。中学校を卒業し、今は高校生だ。勉強は大変だが毎日楽しく、学校に通っている。九年間の義務教育も終わり、夢に向かって必死にがんばらないといけない三年間がまっている。この言葉がいえるのは自分だけかもしれない。世の中には、勉強できない人がいる。経済的な理由や宗教的な理由で。人それぞれ生活や生き方がちがう。だから、今の自分が勉強できることに感謝すべきだと思う。今、アフガニスタンでは、女性が教育を受けることはもちろんのこと、就労することも禁止された。私の親戚もアフガニスタンの学校に通っていたのだが、イスラム主義組織のタリバンにより学校へ行けなくなった。しかし、私は男女関係なく、教育を受けることは大事だと思う。教育は私にとって翼である。羽がたくさん集まった翼でないと私は自分の空へとはばたけない。つまり、教育の知識があることによって自分たちの進むべき道や夢へとはばたくことができるのだ。朝起きて、朝食をすませ、学校に来て勉強する、部活へといくなどあなたのそのあたりまえのような一日は、誰かにとってあたりまえではなく、うらやましいのだ。そのことを知った上で、生活の一つ一つのことや「あたりまえがあること」に感謝し、自分の空へとはばたいてほしい。

銀賞


テーマ1

▽福井県立ろう学校・相川 風響▽北杜市立甲陵高等学校・田邉 麗▽大阪府立汎愛高等学校・山﨑 裕花▽神戸市立神港橘高等学校・山手 春奈▽専修大学玉名高等学校・西辻 玲央▽岩田高等学校・堀 明彩美▽沖縄県立那覇西高等学校・沖田 蒼依

テーマ2

▽山手学院高等学校・吉田 葵▽同志社女子高等学校・帆足 亜貴▽大阪府立工芸高等学校・山中 美優▽金光学園高等学校・平井 ひより▽山口県立萩商工高等学校・竹中 杏 他1名

テーマ3

▽武蔵野大学附属千代田高等学院・丹野 瑞貴・山田 舞桜▽横浜市立みなと総合高等学校・野村 優麗萌▽富山県立大門高等学校・山岸 郁▽山梨県立上野原高等学校・藤本 太白▽北杜市立甲陵高等学校・島田 奈緒▽加藤学園高等学校・橋本 幸▽愛知県立知立高等学校・門池 凜桜・小嶋 琉希▽京都府立東稜高等学校・林 菜々海▽京都市立塔南高等学校・西田 和乃▽京都市立紫野高等学校・大谷 好葉▽同志社女子高等学校・藤井 瑞貴▽平安女学院高等学校・西本 美優▽大阪府立信太高等学校・東口 男▽天王寺学館高等学校・鳥畑 香月▽初芝富田林高等学校・杉山 日奈子▽兵庫県立芦屋高等学校・森 麻悠子▽兵庫県立伊丹西高等学校・内田 蒼大▽神戸市立神港橘高等学校・桑田 晴子▽和歌山県立那賀高等学校・木村 日和▽鳥取県立鳥取商業高等学校・倉信 翔太▽岡山県立瀬戸高等学校・山本 海羽▽広島県立因島高等学校・西原 萌華▽広島県立宮島工業高等学校・鎌田 天晴▽徳島県立城ノ内高等学校・瀬戸口 真菜(学生審査員賞)▽福岡県立折尾高等学校・細美 颯汰▽福岡県立八女工業高等学校・野田 和賀菜▽熊本県立球磨中央高等学校・西 憲吾▽大分県立大分上野丘高等学校・津﨑 美涼▽宮崎県立高鍋高等学校・吉浦 美月▽宮崎県立宮崎北高等学校・河野 友菜▽宮崎県立宮崎商業高等学校・大六野 陽奈・多田 愛楽・手束 柚菜▽鹿児島情報高等学校・川﨑 幸奈 他6名

(敬称略)

奨励賞


テーマ1

▽青森県立田名部高等学校・宮本 紗和▽郁文館グローバル高等学校・杉下 アンヘリカ 実結世▽愛知教育大学附属高等学校・佐藤 そら▽愛知県立古知野高等学校・梶浦 琥珀▽京都府立向陽高等学校・井口 莉乃葉▽大阪府立港南造形高等学校・大田 真歩▽大阪府立摂津高等学校・野間 未尋▽初芝富田林高等学校・田島 銀時▽履正社高等学校・野中 柚希▽兵庫県立武庫荘総合高等学校・川西 七海▽神戸国際大学附属高等学校・込山 歩▽鳥取県立鳥取商業高等学校・澤 春菜▽広島県立三原高等学校・国貞 穂乃佳▽徳島県立脇町高等学校・松村 奈緒▽済美高等学校・藤原 紗雪▽高知県立安芸高等学校・横山 汐亜▽福岡県立八女工業高等学校・坂井 咲葉子・古賀 竜太▽福岡常葉高等学校・金内 愛莉紗▽長崎県立長崎明誠高等学校・川口 麗▽鹿児島県立鹿児島高等特別支援学校・伊瀬知 拓斗▽沖縄県立那覇商業高等学校・赤嶺 汐佳▽沖縄県立陽明高等学校・神田 夏希 他4名

テーマ2

▽武蔵野大学附属千代田高等学院・若井 梨咲▽石川県立大聖寺実業高等学校・小谷 隆揮▽長野県飯山高等学校・松澤 柊斗▽京都府立桃山高等学校・隅垣 宏太▽清心女子高等学校・石井 萌▽高知県立岡豊高等学校・中藪 真桜▽福岡県立稲築志耕館高等学校・小林 はるか▽宮崎県立小林高等学校・窪田 花▽都城東高等学校・東﨑 羽琉々▽鹿児島県立武岡台高等学校・村田 純真リック 他2名

テーマ3

▽宮城県名取高等学校・比嘉 結杏▽昭和学院高等学校・本間 由里子▽桐朋女子高等学校・中島 みゆき▽富山県立高岡南高等学校・松本 遥▽山梨県立吉田高等学校・五味 あかり▽北杜市立甲陵高等学校・新海 美翔・田辺 柚▽多治見西高等学校・田嶋 月・宮嶋 凜香▽静岡県立駿河総合高等学校・永嶋 陸人▽愛知県立豊田東高等学校・田中 萌桃▽桜花学園高等学校・中越 未唯・早坂 里奈▽三重県立昴学園高等学校・西野 もも▽京都市立紫野高等学校・田中 志歩▽同志社女子高等学校・中西 歩華▽大阪府立西高等学校・伊藤 蒔▽大阪夕陽丘学園高等学校・市川 蒼真▽大阪府立都島工業高等学校・渡利 倫太郎▽履正社高等学校・上田 浩輝▽兵庫県立明石高等学校・東 苺花▽兵庫県立伊丹西高等学校・佐藤 晴輝・古山 楓▽兵庫県立姫路南高等学校・小林 優羽・中浦 光紀▽滝川高等学校・平野 翔大郎▽岡山県立岡山南高等学校・安藤 萌夏▽徳島市立高等学校・八幡 凪咲▽愛媛県立川之江高等学校・田邉 心音▽高知県立安芸高等学校・田中 陽菜▽高知県立高知東高等学校・青木 紗良▽高知県立山田高等学校・福重 佐那▽クラーク記念国際高等学校久留米キャンパス・馬場 菖▽熊本県立球磨中央高等学校・荒木 惺奈▽岩田高等学校・矢野 藍海▽鹿児島県立大島高等学校・長濵 康太▽鹿児島県立加治木養護学校・蛭川 しらべ▽鹿児島県立加世田高等学校・中﨑 彩華▽鹿児島情報高等学校・長沼 瑠夏▽沖縄県立那覇高等学校・知念 英和 他4名

(敬称略)

学生審査員賞


隠れていた幸せ
徳島県立城ノ内高等学校 瀬戸口 真菜さん

学校特別賞


 大賞 

神戸市立神港橘高等学校

 特別賞 

▽宮城県名取高等学校▽高岡第一高等学校▽富山国際大学付属高等学校▽金沢高等学校▽北陸学院高等学校▽敦賀気比高等学校▽山梨県立吉田高等学校▽加藤学園高等学校▽愛知県立古知野高等学校▽愛知県立名古屋工科高等学校▽桜花学園高等学校▽金城学院高等学校▽豊橋中央高等学校▽大阪府立汎愛高等学校▽大阪商業大学高等学校▽履正社高等学校▽兵庫県立伊丹西高等学校▽和歌山県立那賀高等学校▽和歌山県立和歌山商業高等学校▽鳥取県立鳥取商業高等学校▽岡山県立岡山南高等学校▽岡山県立瀬戸高等学校▽福岡県立香椎工業高等学校▽福岡県立八女工業高等学校▽宮崎県立宮崎大宮高等学校▽聖心ウルスラ学園高等学校▽都城東高等学校▽鹿児島県立武岡台高等学校▽鹿児島情報高等学校

文字霊の力
大阪経済大学 学長 山本 俊一郎

 「書は心画なり」とあるように、手書きの文字から書き手の心象が伝わることは誰しも経験していることだろう。尖った文字からはささくれ立った感情が、角ばった文字からは生真面目さが、筆圧強めの文字からは憤りを感じることもある。それが読み手の思い込みであっても、書き手に対する想像の広がりは、文章に対する感情の振れ幅を大きくする。
 毎回、17歳からのメッセージを審査するにあたっては、文字の綺麗さや見易さといった特徴は一旦忘れて、あくまで文章の善し悪しから作品を評価しようと心がけているのだが、気づけば言霊ならぬ文字霊に憑りつかれているときがある。かすれた手書き文字と悲恋な想いを綴った文章が重なり、消しては書いてを繰り返した痕跡が日々の葛藤と迷いを綴った文章と重なる。厄介だ。文脈だけに集中しなければ。一向に抜け出せない状況に、「文字霊退散!」と書いた呪符でも作ろうかと考えてやめた。呪符こそ文字霊そのものではないか。
 客観的に審査できているのかと不安になるなかで、再度読み返してみれば、なんてことはない。その不安が杞憂であることに気づく。素晴らしい文章にこそ文字霊は宿る。
 まだまだコロナが収束しないなかで、今年度も多数の作品が寄せられました。応募いただきました高校生の皆様に心から感謝申し上げます。
 「コロナ退散!」この文字霊が世界に届きますように。

心にしみる言葉を
17歳からのメッセージ審査委員長 近藤 直美

 皆さま、今年も大阪経済大学「17歳からのメッセージ」にご参加いただきありがとうございました。回を数えること22回となりました。1回目に応募された方々ももうとっくに成人を迎え、どのような人生を送っておられるのでしょうか。様々な人生の中に、少しでも「17歳からのメッセージ」が意味のあるものであれば幸いです。
 昨年度の山本学長の講評のタイトルは「マスクだらけの世界で」でした。その状況は今年も残念ながら変わっていません。ただ、皆さまが現実に真摯に向き合い、時には嘆き、時には憤りながらも、まっすぐに現実に向かっていることに心を打たれました。
 18歳からが成人となった今年、「大人って何?」という問いも多く寄せられました。あいまいで不確かで、それでいて何か圧迫されるような気のする「大人」という言葉。それは誰にとっても答えの出ない、でも出さねばならない問いであることが私たちの胸にもストレートに響いてきて、粛然とする思いでした。
 高校生らしいユーモア、ためらいも柔らかく心に迫ってきます。「大人」と呼ばれる私たち以上に毎日を大切に生き、友人や家族とのつながりを矛盾も含めて受け止めている。そんな皆さまの今後の人生に、少しでも「17歳からのメッセージ」が意味のあるものでありますように。あわせて、読者の皆さまにも心からお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。今後ともよろしくお願い申し上げます。

読み返しのススメ
読売新聞大阪本社 生活教育部長 中舘 聡子

 コロナ禍で「密接した会話」が制約され、代替策として注目を集めたのはオンラインのビデオ通話でした。しかし、紙に文章を書くという古来のコミュニケーションツールももっと見直されて良いのでは? 審査しながらそんな思いを抱くほど、応募者の率直な胸の内や経験が作品に刻まれ、そこから導き出したメッセージに説得力を感じました。
 文章のリズムが良い作品が多かったのも印象に残りました。私たち新聞記者も、伝える力を向上させるために大切にしている要素です。グランプリ「ショートケーキ」は短文の繰り返しや体言止めが効果的に使われ、一気に読み進められました。
 応募作品は、受賞の有無に関係なく、大人になってから読み返すことをオススメします。気恥ずかしいかもしれませんが、何とか我慢してください。グランプリ「透明という色」が、「あなたは今何色ですか」と未来の自分に問いかけた中学生の頃の手紙を見つけるという話でしたが、その時々に頭を悩ませて紡ぎ出した文章には、人生の道しるべとなる言葉が隠されていることも少なくないように思います。

主催:大阪経済大学 
後援:読売新聞大阪本社 、読売テレビ、マナビジョンブック、大阪府教育委員会、大阪市教育委員会