松蔭女子学院創立120周年記念シンポジウム「国際都市『神戸』発〜グローバルに活躍する女性たち〜」


 1892年に国際都市・神戸で産声を上げ、キリスト教主義に基づいた自由でのびやかな校風のもと、約6万人の女性を育ててきた松蔭女子学院は来年、創立120年を迎えます。これを記念するシンポジウム「国際都市『神戸』発〜グローバルに活躍する女性たち〜」(学校法人松蔭女子学院主催/読売新聞大阪本社広告局など後援)が10月22日、同大学で行われました。世界的なファッションデザイナーで神戸松蔭女子学院大学客員教授のコシノヒロコさんや、世界で活躍する卒業生の熱い語りに、来場した約270人が熱心に聞き入りました。
◆主催/学校法人 松蔭女子学院 ◆後援/神戸市、神戸市教育委員会、読売新聞大阪本社広告局

 主催者あいさつ

 郡司 隆男 (神戸松蔭女子学院大学学長)

豊かな感性育てる

 「英国聖公会」の宣教師によって英語と裁縫を中心に授業を行うミッションスクールとしてスタートした本学は現在、時代のニーズに応える7学科を展開しています。中でも英語学科とファッション・ハウジングデザイン学科は、創立時の教育理念が連綿と続いています。本日は、ファッションデザイナーとして国際的に活躍されているコシノヒロコさんと、本学から世界に羽ばたいていった卒業生をお迎えしています。グローバルな視点から語られる話を通して、本学は豊かな感性を持った女性を育て、世界に送り出してきた大学であることを知っていただければ、と願っています。


 基調講演

「人生をデザインする」
 コシノヒロコ氏 (ファッションデザイナー、神戸松蔭女子学院大学客員教授)

大阪・岸和田市生まれ。東京、パリ、ローマ、上海、ソウル、台北などで数々のコレクションを発表してきた。1997年第15回毎日ファッション大賞、2001年には大阪芸術賞を受賞。11年にはファッションと絵画・書画の展覧会をパリで開催した。

良い環境で“自分磨き”を

 私たちコシノ3姉妹が世に知られるようになったことは、女手一つで育ててくれたおかあちゃん抜きに語ることはできません。岸和田市内で洋装店を営んでいたおかあちゃんは、発想が面白くて豪放磊落な反面、商売人としての感覚やクリエイティブ精神、美意識が共存している、そんな人でした。教育方針について聞かれると「ほったらかしですねん!」が口癖でした。ミシンを踏むおかあちゃんの背中を見て育ちましたから、私たち姉妹は子どものころから自主性が身についたように思います。

 コシノ家では、日常生活の中に常にキリスト教の信仰が息づいていました。ファッションデザイナーは毎年、何百着もの服をデザインし、かなりのエネルギーを使う仕事です。逆境や試練も数多くあり、「もう私はダメや・・・」と落ち込んだこともありました。でも、その度に「神様は試練を与えるが、とことんまでは落とさない。それを乗り越えた時に自分が成長できるための試練なのだ」と考えてきました。東日本大震災で私たちはたくさんのものを失いましたが、家族の絆や日本人の素晴らしさなど大切なことも学びました。この試練を乗り越えると、もっと素晴らしい未来が待っている、と信じています。

 私の美意識の原点は祖父の存在です。色々な場所に遊びに連れて行ってくれ、絵を描く面白さに目覚めさせてくれたおかげで、私独自のセンスやクリエイティブ精神が養われました。環境は人間形成の過程で大きな影響を及ぼします。ですから今の若い人たちも、よりよい教育環境の中で学び、"自分らしさ"を磨いてほしいです。自分の個性をよく理解すると同時に、周りもそれを理解することは成熟した社会の証しです。洋服も自分からのメッセージであり、考え方、生き方、まさに個性そのものです。私自身も、一人ひとりが主張を持っておしゃれができ、気持ちが豊かになるデザインの服を提供し続けていきたいと思います。



 パネルディスカッション
「国際都市『神戸』発〜グローバルに活躍する女性たち〜」

 パネリスト/

 コメンテーター/ 
 司会者/
木由美子氏 (学校法人マリスト国際学校ESL学科主任)
土屋桃子氏 (オークラガーデンホテル上海セールスマネジャー)
コシノヒロコ氏
浜平恭子氏 (パーソナリティー)

浜平(以下、敬称略) まず、みなさまの松蔭との関わりを教えて下さい。

コシノ 妹のミチコと私の娘たちが卒業したご縁もあって、中高の制服のロングコートをデザインさせていただきました。現在はミチコと私が客員教授を務めています。

 中学・高校・短大と松蔭で過ごしました。現在は神戸の国際学校で英語教師として、英語を第二言語とする生徒を教えており、授業は全て英語で行っています。常に世界を身近に意識する環境で仕事をしてきましたが、その原点は、中学1年の時の英語の先生の授業に魅せられたことです。松蔭には米国の大学に留学する際にもサポートしていただきました。


 土屋桃子氏
 神戸松蔭女子学院大学文学部英語英米文学科卒業後、ハイアットリージェンシー大阪へ入社。フロントオフィス、広報を経てオークラガーデンホテル上海へ転職。現在はセールスマネジャーとして日系企業の営業を担当。

土屋 大学時代は英語英米文学科で学びましたが、中国語にも興味があり、提携校である北京外国語大学に留学しました。現在は上海の日系ホテルでセールスマネジャーとして日系企業を担当しています。

浜平 海外生活ではどんなことに苦労されましたか?

 日米の文化や習慣の違いは当然のことながら、同じアメリカ国内でも北部と南部では人々の気質がまるで異なります。コミュニケーションを図るには常に自分の疑問や考えを相手にはっきりと伝えなければならない、ということを学びました。

土屋 中国は多民族多文化の国。言語も北京語と上海語では全然違います。異文化に限らず、コミュニケーションで大切なのは他人との共通点を見つけることと、互いの違いを楽しむことだと思います。私自身も着任当初は上海語がまったくわからず、さびしい思いもしましたが、片言でも覚えて地元の人と会話をするようになると、その土地に愛着がわいてきました。


 高木由美子氏
 松蔭中学校・高等学校を経て、神戸松蔭女子学院短期大学英文学科卒業。その後、大学編入のため渡米。米国ダンロップ社で通訳として勤務した後、TESOLの修士号を取得し帰国。WHO神戸センター勤務を経て現職。

浜平 コシノ先生は1984年に上海で、中国初のコレクションを世界にさきがけて発表されましたね。

コシノ 当時はまだまだ発展途上でしたが、今の中国は経済が急成長し、外から入ってくる新しい文化をどんどん受け入れています。そのダイナミズムには圧倒されますね。

浜平 今、改めて感じる日本の良さとは?また今後、女性としてどのような人生を送りたいですか?

日本の良さ見つめ直す…高木

 世界を意識する中で、日本人ならではの心配りや優しさに気付くとともに、自分の国の文化や伝統をもっと知りたいと思うようになりました。子どもたちには、「もっと海外に出て行って視野を広げ、日本の素晴らしさや家族の大切さを見つめ直してほしい」と伝えたいです。将来は、教育の機会に恵まれない子どもたちをサポートするボランディア活動をしたいです。


 浜平恭子氏
 神戸松蔭女子学院大学文学部英米文学科卒業。Kiss-FM KOBE「B.P.M.(Beats Per Minute)」DJ、毎日放送「水野真紀のMaki's魔法のレストラン」ナレーション、その他イベント・ショーのMCなどで活躍中。

“やまとなでしこ”の代表…土屋

土屋 海外に出て、外国人の日本の製品やサービスに対する信頼度の高さを知りました。私は"やまとなでしこ"の代表として、「一期一会の精神」と「おもてなしの心」を忘れず、同時に日本人であることに誇りを持って、今後も海外で仕事を続けていきたいです。今、韓国語を勉強しており、将来的には香港やシンガポールなど東南アジアで働くことも視野に入れています。

「教え」生きていると実感…浜平

浜平 私も松蔭の卒業生ですが、社会人になってから色々な問題に直面した時に、大学時代に触れたキリスト教の教えが今も生きていることを実感しています。国際交流も活発で自然環境に恵まれた神戸で過ごした学生時代が懐かしいです。

コシノ 日本の中でも特に神戸は、海と山が一体となった都会です。古いものと新しいものとが共存し、人々の考え方も柔軟です。そんな神戸の魅力が凝縮されている松蔭で学んだ女性たちが、時代を敏感に読み取る感性を身につけ、これからも世界で活躍されることを期待しています。



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